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WEBコラム【第4話】孤立無“縁”の人が求める安心とは

更新日:202101190930


シリーズ「みんなで生きる、みんなが活きる」【第4話】

孤立無援者が求める安心はトップ画像

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新規契約数から見える孤立者の多さ

 「身元保証支援」。入院、施設入所、住宅の契約、さまざまな場面で身元保証人が必要です。身寄りのない人は契約できない可能性があるのです。そこで支援を行うのが「生活支援センター結」です。
 結の主な活動は大きく2つ。身寄りのない人に「入院・施設入所の身元保証」と「住まいに困った人の保証人支援・一時支援」を行います。他に、携帯電話の貸し出しや就職時の身元保証なども行っていて、支援対象者は20歳代から80歳代まで幅広い年代にわたります。2019年の新規契約は141件。営業日数から計算すると、ほぼ1日1件になります。2012年の法人設立から通算で600件以上。孤立無援になる人の多さを物語っています。結の理事長で、自ら支援の最前線で動く永田啓造さんは、「相談窓口は多いけど、具体的な支援策がない分野がある」と現代の深刻な課題を感じています。

永田さんのインタビュー風景

結の事務所でインタビューに応じる永田さん

 結の方針は「断らない支援」。身元保証支援事業は、永田さんが社会福祉士会の成年後見人養成事業に参加したことがきっかけでした。「核家族化や高齢化で孤立無援者が増えることが見込まれて、介護保険制度と同時に始まった後見制度。身寄りがない人のために第三者後見が必要だと、社会福祉士会で後見人養成が始まりました。私がその1期生でした。そこで気づいたのは、後見制度では一部の人しか救われないということ。なぜなら、認知症などで判断能力が低下した人しか後見制度を使えませんから」。取り残される人を生みたくない。それが永田さんの原点なのかもしれません。

電話で支援者と話す永田さん

インタビュー中も支援中の人からの電話がひっきりなしに。電話口の若者に「仕事はうまくいきよるね」「家賃を払う日やろ。ちゃんと払ったね?」と言いつつ、連絡に表情がほころぶ永田さん

制度だけではない「誰かとつながりたい」

 8月下旬。結の身元保証支援を受けることになった80歳代の女性に会いに行くということで、一緒に行き、取材しました。
 女性(仮名:山下さん)は10年前、夫と死に別れて1人暮らしに。7年前に現在の借家へ引っ越しました。3年前の交通事故をきっかけにだんだん体力が落ち、パーキンソン病にもかかりました。自宅で介護サービスを受けていますが、心配する包括支援センターからは施設への入所を勧められ、山下さんも病気の進行を気にしていました。それで、苦渋の決断をしました。入所するのに、身元を保証する親族が居ないため、結に支援を依頼しました。

支援者宅を訪れた永田さん

支援する山下さん(左)の自宅を訪問した永田さん。1時間ほど世間話をしました

 永田さんは「最近体調はどう?」「近所に友達はおるね?」など状況を聞いたり、「お風呂では滑らんごと。パーキンソン病の人に起こりやすい事故やけん」と声をかけたりしています。山下さんは永田さんの存在を心強く思っています。「親身になってくれる人だと一目で分かった。お父さんのように頼りになる」。

支援を受ける女性の手

ここ最近、病気による震えが大きくなったという山下さん。「右手から始まって左手も震えるようになり、最近は背中の筋肉まで震える。夜にひどい震えが起こるのが怖いから、入所も仕方がないと思って」

山下さん「今度施設に入ったら、もうお付き合いは終わるとですか」
永田さん「いやいや。支援が必要になったらいつでも支援します。最期の時までですよ」
山下さん「そんなら永田さん、いつまっでん元気にしとってください」

 山下さんは、永田さんが居なくなると入院や施設を移る時などに困る。それだけでなく、「せめて頼れる人が居てほしい」という気持ちのようでした。「永田さんに出会えてほんなこつ安心できた。引き受けてくれてありがとう」と山下さんは繰り返しました。
 永田さんは言います。「実は身元保証のニーズは、制度利用の面だけではありません。身寄りのない人が、誰かとつながっていたいという気持ちの面が意外と多いんです」。

アルバムを見る永田さん

「自分のことを知っとってほしい」。山下さんは帰り際、病気で震える手でアルバムを持ち出し、永田さんに昔の写真を見てほしいとお願いしました

お金が無くても権利は守られるべき

 どういう状況であっても、困っている人が最低限のサービスを受けられるようになるべきだとの思いから、永田さんは事業を続けています。「お金がなくても、権利は守られなければならない」と、契約料を30,000円と抑え、払えない人からは払える分だけをもらい、支援を続けています。
 葬儀事業や日常的金銭管理の委託業務などで、収益を出す仕組みを作って、運営資金を確保しながら、身元保証支援を続けています。永田さんは次のように望みます。「ボランタリーでの支援活動はまず続きません。やはりビジネスモデルが整わないと。私の希望としては、孤立無援の人がこれだけ増えている中、誰でも安心して暮らせるために、身元保証支援が国レベルで制度化されてほしいと思います」。

支援者のファイルを見る永田さん

これまでに支援した人の情報はファイルで保管。キャビネット1台にずらりと並ぶファイルが孤立無援者の多さを物語っています

(第4話終わり)


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