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シリーズ【64】特別な言葉より、何気ない関わりを

更新日:202609010000


特別な言葉より、何気ない関わりを

西鉄バスジャック事件の被害に遭った経験を基に、子どもの居場所づくりなどを行う山口由美子さんに話を聞きました。

山口由美子さん
平成12(2000)年、西鉄バスジャック事件の被害者。事件後、不登校の子どもたちの居場所を提供する活動や、子育てに悩む親の会の代表を務める。
山口由美子さんのお写真

突然、犯罪被害者に

26年前、コンサートを聴きに行くため高速バスに乗っていた時、突然バスジャックに遭いました。少年が私の顔に包丁を振り下ろし、一緒に乗っていた大切な友人も刺されて亡くなりました。
顔に重傷を負い、家から遠く離れた病院で1カ月半入院しました。体も思うように動かせず知り合いもいない中、事件を思い出しては友人を守れなかった自分を責め続けていました。そんな時、看護師さんがたくさん話しかけてくれて、雑談や悩み相談をし合ったり、私が音楽好きと知ってCDを持ってきてくれたりするように。何気ない関わりのおかげで「何にもできない自分でも大切にしてもらえる、生きていていいんだ」と思えるようになりました。
後に、加害少年がいじめをきっかけに不登校になり、周囲から孤立していたことを知りました。我が子も不登校だった時期がありますが、娘には寄り添い、話を聴いてくれる人がいたのです。「少年にも寄り添う人が一人でもいたら事件は起きなかったのでは」と思うように。そこから不登校の子どもやひきこもりの若者たちの居場所づくりや親の会を設立。これまで100人以上の子どもたちと時間を共にしてきました。「そのままのあなたで、ここにいていいんだよ」看護師さんとの関わりの中で私が感じた温もりを、子どもたちも感じてくれているとうれしいです。

いつも通りの関係が支えに

事件後しばらくたってから、隣人に「当時、何と声をかけてよいのか分からなかった」と言われました。突然の出来事で、どう接してよいか戸惑うのは当然のことだと思います。でも、私の一番の支えは何気ないいつも通りの関係でいてくれることでした。特別な言葉はいりません。その変わらぬつながりこそが、被害に遭った人の生きる支えになると思います。
山口さんが自宅で話をしている様子

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