トップ > 計画・政策 > 人権・同和問題・男女平等 > 人権啓発 > 共に生きる(広報紙) > 人権特集【55】戦争は最大の人権侵害
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更新日:2025年12月01日 09時00分
12月4日から10日までは人権尊重週間
世界では、いまだ紛争が続き、人権が奪われています。今年は、広島・長崎への原爆投下と終戦から80年。核兵器廃絶と平和を訴える署名活動などを行う高校生平和大使の声を紹介し、人権の大切さについて考えます。
第2次世界大戦では、特定の人種の迫害や大量虐殺など甚大な人権侵害がありました。悲惨な戦争の歴史を繰り返さぬよう、平和を目指す国際的な機関として国際連合(以下、「国連」)が誕生。昭和23(1948)年12月10日、国連は「世界人権宣言」を採択しました。
採択日である12月10日は、世界共通の「人権デー」。これに合わせて久留米市は、毎年12月4日から10日までを「人権尊重週間」とし、人権の意識を高める啓発活動を行っています。
同週間を前に高校生平和大使の小川陽大さん(筑陽学園高3年)と、稲富りえさん(八女高2年)に話を聞きました。
―活動を始めたきっかけは
(小川) 幼い頃からニュースで戦争や紛争を見てきて、平和について関心を持っていました。去年、平和大使募集のポスターを見て、ぜひ活動に参加したいと思い、応募しました。
―どのような活動をしていますか
(小川) 私は署名活動や講演会、小中学校での平和授業を行っています。長崎で行われた研修にも参加して、私自身も日々学びを深めています。戦争の歴史や体験談を聞かなければ、戦争の悲惨さを想像することは難しいです。そのため、平和授業を行うときに、知識や体験がない子どもたちにどう伝えるか悩むことも。それでも一生懸命聞いてくれて、思いが伝わったときはとてもうれしいですね。私たちの活動をきっかけに平和や戦争について自分でもっと調べて欲しいなと思います。
―現在の世界情勢についてどう思いますか
(小川) 今年の8月に、学校のプロジェクトで、大阪万博のウクライナパビリオンを訪れました。スタッフから、ウクライナは安全な場所がシェルターや地下鉄などに限られているという話を聞きました。自分の死と隣り合わせの場所で生活したり、勉強したりするという現実は想像をはるかに超えるものでした。戦争が安全な暮らしや、学ぶ権利を奪うという恐ろしさを改めて痛感。高校生平和大使として、戦争の悲惨さと平和の大切さを多くの人に伝えたいと思いました。
―私たちたちにできることは
(小川) 戦争を体験した人たちは高齢になっていて、私たちは体験を直接学び、継承できる最後の世代です。戦争は最大の人権侵害であり、その記憶を風化させてはなりません。この責務を果たすため、一人でも多くの人に関心を持ってもらえるよう、活動を継続していきます。
―活動を始めたきっかけは
(稲富) 幼い頃から祖母の戦争の話を聞き、戦争の悲惨さを胸に刻んでいました。中学生の頃、修学旅行先の広島で90歳を超える語り部のおばあさんの話を聞いたとき、私は涙があふれそうなくらい強い衝撃を受けました。祖母の話と重ねて、より戦争の悲惨さを実感。「戦争は人々の日常を奪う恐ろしいもので、繰り返してはいけないものだと伝えなければ」という使命感が生まれ、この活動をしています。
―活動を通して感じることは
(稲富) 私たちは毎月、天神で署名活動を行っています。道行く人に声をかけることは想像以上に勇気のいることです。素通りされることもありますが、一度通り過ぎた後にまた戻って来て署名してもらえたときは、とてもうれしい気持ちになります。たとえ今日は素通りでも、誰かの記憶の片隅に私たちの声が少しでも残ってくれたら大きな前進だと思っています。
―平和を築くために大切なことは
(稲富) 平和活動の「継続」と「継承」です。高校生である私たちにできることは、同じ志を持つ仲間とつながって、平和活動を続け、次の世代にバトンをつないでいくことです。また、「自分はこう思う」と言える社会を維持し、対話を通じて互いを認め合うことも大切だと考えています。
―若い世代に伝えたいことは
(稲富) 私たち若い世代には、過去の戦争の直接的な責任はありません。しかし、同じ過ちを繰り返さないという未来への責任はあります。
私たち高校生平和大使は、「ビリョクだけどムリョクじゃない」をモットーに頑張っています。一人一人が世界で起きていることにアンテナを張って、他人事ではなく、自分の事として捉え、一歩を踏み出してほしいです。