トップ > 計画・政策 > 人権・同和問題・男女平等 > 人権啓発 > 共に生きる(広報紙) > シリーズ【51】こんな「人」ではなく、こんな「時」と考える
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更新日:2025年08月01日 10時00分
「くるめ出逢いの会」が運営する「オープンスペースゆるか」スタッフの津野稔一さんに聞きました。
津野稔一さんプロフィール
NPO法人くるめ出逢いの会のメンバー。精神的な悩みや生きづらさを分かち合う「オープンスペースゆるか」のスタッフとしても活動中
今から約20年前、私は精神的に大きなダメージを受け、精神科医療にかかりました。働けなくなり、「当たり前のことができない自分は、言いたいことを言ってはいけない」と自分自身への偏見に苦しむ日々。やりたいことを選んだり、主張したりする気力を失い、長いトンネルにいるような感覚が続いたのです。
そんな中、似た経験をした人たちと「自分らしくあるために何をするか」について話し合う機会が何度もありました。少しずつ「元の生活に戻らなければならない」意識から解放され、明日に希望を持てるようになりました。
平成25年に「くるめ出逢いの会」で活動を始めました。オープンスペースでは、問題を解決するのではなく、互いの経験に学び、共に成長し合う関係性を大切にしています。「助ける」「助けられる」の関係が固定化すると、相手に責任を押しつけたり、自分で考えなくなったりするからです。こちらから病気や障害のことは尋ねず、日常生活のことを話すようにしています。病気は自分に起きている経験の一つ。自分自身も病にとらわれず、自分らしさを大切に過ごそうと心がけています。
自分の知識や世間の情報を基に病名や障害名などで相手をこういう「人」だと決めつけ、その人の問題を解決しようとすることがあります。そうではなく、今は相手の気持ちや体調が不安定な「時」なんだと思うと見方が変わり、関わり方が変化します。自分のものさしで勝手に評価するのではなく、相手との関係性を紡ぐ社会にしたいですね。
「オープンスペースゆるか」で想いを語る津野さん