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シリーズ【18】気持ちを共有する場があるだけで

更新日:202301271156


気持ちを共有する場があるだけで

傷害事件の被害者であり、犯罪被害者同士の交流や理解を深めるための講演活動をしている鈴木薫さんに話を聞きました。

鈴木薫さんの写真

面識のない人から突然切りつけられて

 平成12年、自宅マンション前で、突然見ず知らずの人に話しかけられました。相手が何を言っているか意味が分からずにいると、興奮した加害者は、突然私の左腕を刃物で切りつけました。わずか数分の出来事。当時、私は知人の受賞祝賀会を手伝っていました。祝賀会に招待されなかったことを逆恨みしての犯行でした。当時の警察署には、犯罪被害者を支援する窓口もなく、担当者が変わるたびに同じ説明を何度も求められて、苦痛で仕方ありませんでした。

同じ目に遭うかもしれない恐怖

 その後、加害者は精神疾患などの理由で、起訴には至りませんでした。教師をしていた立場上、自暴自棄になってはいけないと、自分に言い聞かせていました。気持ちを抑え過ぎたせいか、2年後にその反動が現れ、仕事を休むことに。その時期は、何もする気になれず、誰とも関わる気にもなれませんでしたね。時間がたつと、周りの人から「何で刺されたの」とか「元気になったんだから、相手を許したら」などと言われることもありました。その度に、被害者の心の内は、分かってもらえないと思うように。また被害に遭うかもしれないという恐怖は消えないのに、犯罪被害者は、直接の被害に加え、周りからの言葉にも苦しめられ、社会から孤立した状況に置かれてしまうのです。

誰もが犯罪被害者になる可能性が

 事件から5年ほどたった頃、知人が犯罪被害者の集まりに声をかけてくれました。初めての参加で、支離滅裂な話をしたことを覚えています。参加者の一人が「あなたの言ってることはよく分からなかったけど、気持ちは分かるよ」と。その一言が、なぜかスッと入ってきたんです。犯罪被害者やその家族、遺族など置かれた状況はさまざまです。気持ちを共有する場があるだけで、救われることもあります。犯罪被害は決して起きてほしくないですが、誰もが突然、被害者になる可能性があります。私のような理不尽な思いは、誰にも味わってほしくありません。

腕の傷痕を見せながら話をする鈴木薫さんの写真
「二度の手術で腕の傷跡も分かりにくくなりました。」と話す鈴木さん

(お知らせ)2022年11月26日(土曜日)、「みどりの風」が「犯罪被害者大会」と「被害者同士の交流」を久留米市で開催します。
 参加希望者は問い合わせ先まで(問い合わせ)安全安心推進課(電話番号:0942-30-9094、FAX番号:0942-30-9706)

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 協働推進部人権・同和対策課
 電話番号:0942-30-9045 FAX番号:0942-30-9703 電子メール(専用フォーム)でのお問い合わせ

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