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第4章 地力と風格のある都市久留米
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更新日:2024年03月21日
13時55分
第1節 知恵と技術を創造するまちに
第2節 アジアに開かれた学術研究のまちに
第3節 人と情報が行き交うにぎわいのあるまちに
第4節 拠点都市の役割が果たせるまちに
佐賀県東部を含む福岡県南の拠点都市として発展してきた 久留米市の求心力が低下しつつあります。
これは、これまで久留米広域都市圏をリードし、求心力の源泉となっていた本市の産業が、複合化した時代潮流の大きなうねりを受ける中で、すべての分野において成熟化しつつあることが大きな要因の一つです。
21世紀の久留米市の発展の礎は、新しい時代を切り拓く「地力」と福岡県第3の都市としての「風格」を持つことです。
本市の活力ある持続的発展の源泉となる「地力」を生み出すため、脈々と流れている知恵を使い技術で挑戦する久留米の産業風土を、農業、工業、商業など多様な分野で継承し、新しいことへ挑戦する起業家精神の醸成や時代が求める新産業の創出を図るなど、独創的でチャレンジ精神にあふれた活力ある産業の再構築を進めます。
また、本市の求心力を高めるには、良質の刺激を生み出す多様な人と情報が集散するにぎわいのある空間づくりが重要です。
そのため、都心部商業や地域商業など広域的に魅力ある商業の振興を図るとともに、観光・コンベンションなどによる交流を進めます。
一方、都市の風格は、都市圏域全体の一体的発展の視点を持ち、一貫した理念のもとでたゆまぬ都市づくりから醸し出されてきます。
それは、久留米に暮らす人々にとっては、自信と誇りであり、周辺の人々からの期待でもあります。
自立する21世紀久留米広域都市圏のリーダーとしての役割を果たし、地力と風格を兼ね備えた都市を目指します。
第1節 知恵と技術を創造するまちに
1.展望と課題
- 本市の産業は、恵まれた自然条件や社会条件のもとに、農業、工業、商業などがバランス良く発展し、佐賀県東部を含む福岡県南の中核都市としての役割を果たしてきましたが、近年の本市産業の動向をみると、農業においては、県下第1位の農業粗生産額を維持しているものの、生産農業所得の伸び悩み、農業就業人口の減少や高齢化などの課題を抱えています。また工業においては、本市の中核産業であるゴム産業がそのウエイトを下げ、製造品出荷額の急激な低下をもたらすなど、地域経済の底力が失われつつあります。
-
このような中、社会経済のグローバル化、高度情報化、少子・高齢化などが急速に進展し、さらには市場開放や規制緩和など経済環境は大きく変化しており、こうした変化に柔軟に対応できる産業構造への変革と地力ある地域産業の再構築が急務となっています。特に、21世紀の産業を牽引すると期待される情報通信技術活用への対応が課題となっています。
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本市は、これまでテクノポリス政策のもとで、地域企業の技術高度化や研究開発機能の強化に取り組んできましたが、未だ自立的な発展基盤を有する高度技術企業群が集積するまでには至っていません。こうした中、国においては、いわゆるテクノポリス法を廃止し、新たに新事業創出促進法を施行するなど、あらゆる分野での創業を支援する政策へと転換しています。この新事業創出の苗床となるのは、高度技術に立脚した産業の集積であり、本市の産業戦略も、地域資源を活用した高度技術の集積を図るこれまでのテクノポリスの理念を継承しつつ、高度技術を核に、多彩なベンチャービジネスの創出育成を積極的に図っていくことが必要となっています。
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また併せて、縮小傾向にある本市産業の地力を回復するため、戦略的な産業分野の企業、研究機能の地域内誘導を図っていく必要があります。
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また、これからの農業では、量的な面からの安定供給のみならず、質的な面での安定供給も重要であり、農業に期待される役割を果たすためには、将来にわたって農業が持続的に発展していくことが重要です。
2.戦略的視点
- 様々な産業分野において、知恵や技術を活かした独創的起業家精神の醸成を図り、次代を担う新しい産業の創出、集積を進めるため、新たな技術、新事業、新産業を創出する総合的な支援の仕組みを強化し、ベンチャー企業の創出育成を積極的に図ります。
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また、情報通信、環境、医療・福祉、バイオテクノロジー分野など、本市の特性から発展可能性の高い産業分野については、地域の産・学・官の有機的ネットワークをベースとした戦略的な育成を図ります。また、新たな企業や研究機関の誘致、新産業の創出や既存産業の創造的な活動を支援する産業支援型サービス業の育成、集積を進めるとともに、チャレンジ精神おう盛な中小企業の育成、支援、技術・技能の高度化などにより、足腰の強い産業構造を構築します。
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特に、21世紀の本市の新たな産業展開の拠点となるオフィス・アルカディア事業地区内への多様な業務機能の早期誘導を図ります。また、新たな企業立地を促進するための受け皿となる産業団地の整備に当たっては、地区のポテンシャルを見極め、周辺環境との調和を前提に計画的な整備を進めます。
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活力と魅力ある農業の構築を図るため、農業後継者や新規就農者、専・兼業農家や農業生産法人などの多様な担い手と生産から加工流通までを視野に入れた多彩な農業活動を展開します。また、消費者の視点を重視した農業を展開し、地域及び広域の消費者ニーズに積極的に対応するとともに、生産、技術や所得の向上を図ります。
さらには、家畜糞尿の堆肥化施設を整備し、良質の堆肥生産と普及を一体的に進め、土づくりによる化学肥料や農薬の低減を図り、自然循環機能の維持増進による環境と調和した農業を実現しながら農業の持続的発展を目指します。
3.施策の内容
- 次代を拓く新たな産業の創出
- 新産業の創出と起業化支援
新たな産業創出に向けて、ベンチャーマインドの醸成を図りながら、技術開発支援、インキュベーター機能の充実、資金融資や経営指導など総合的支援を行うため、財団法人久留米・鳥栖地域技術振興センター(TMC)や株式会社久留米リサーチ・パーク(KRP)、株式会社久留米ビジネスプラザ(KBP)などの中核的な産業支援機関の充実強化などによる新技術創造支援体制の充実を進め、ベンチャービジネスの創出・育成を積極的に図ります。
特に、バイオテクノロジー分野の拠点化を進めるため、バイオベンチャーインキュベーションセンターの設置を促進します。
- 新技術の研究開発促
情報通信や医療・福祉、環境分野やバイオテクノロジーなどの、本市の次代を担う産業分野における新事業創出を目指し、地域の学術研究機関の研究シーズの技術移転、公的資金を活用した研究プロジェクトなどの誘致、設置を推進します。
- 活気ある地域産業の振興
- 高付加価値型産業の振興
市内の既存企業の技術の高度化や研究開発機能の強化を図るとともに、新産業の創出や既存の産業の創造的活動を支援する産業支援型サービス業の育成、集積などの高付加価値型の産業集積を促進します。
- チャレンジする地域企業の支援
中小企業については、情報通信技術の活用、技術の高度化や人材の育成、金融制度などによる経営基盤の強化などの支援を進める一方で、新たな事業分野への進出などのチャレンジ精神の喚起を促し、地域経済を支える中小企業群の活性化を図ります。
- 地場産業の振興
伝統的地場産業については、商品やデザインの開発力、新規市場開拓力の強化を図り、伝統と革新の融合による個性と魅力の創出などによって、21世紀の生活文化を彩る産業としての地力を育成します。
- 戦略的な産業集積の促進
- 新たな力を生み出す企業の誘致促進
産業振興奨励金や産業立地交付金などの活用により、オフィス・アルカディア事業地区内や南部流通団地への企業誘致を積極的に進めます。またアルカディア地区内の産業業務支援施設であるビジネスプラザの整備を図るとともに、企業立地セミナーの開催や日常的な企業訪問活動、PR活動などの企業誘致推進事業を進め、特に情報通信や医療・福祉分野、環境分野、バイオ分野などの次代を担う戦略産業や都市型産業などの戦略的な企業誘致・立地を促進します。
- 立地環境の整備
企業誘致の受け皿となる新たな産業団地の整備については、道路条件などのポテンシャルや周辺環境との調和などを考慮し、久留米市工業振興ビジョンに基づく産業団地整備や、耳納北麓の景観と調和した観光・体験型の産業団地整備を計画的に取り組みます。
- 次代を見据えた地域農業の振興
- 多様な担い手育成をめざす総合農政の推進
個人や法人、営農形態や経営規模に関わらず、多様で多彩な農業が営まれ、農業全体を支え活性化させる構造を形成します。特に多様な担い手育成事業によって、研修、融資、新規就農者対策を総合的、重点的に実施し、農業の中核的担い手として、認定農家や生産法人、団体、農業後継者や新規就農者の育成と確保に努めます。
- 優良農地の確保と生産基盤の整備
農業基盤の整備状況や農業生産の状況、農業就業者の状況、将来の営農状況などを検討し、本市農業に必要な優良農地の確保を図るとともに、農道や用排水路、ほ場整備などの生産基盤の整備を計画的に進めます。
- 競争力のある農業経営の推進
輸入農産物の増加、国内の産地間競争など、農業生産と流通を取り巻く環境が厳しさを増す中、質の高い農産物の生産を基本に産地間競争に打ち勝つ、競争力のある農業経営への取り組みを進めます。
消費者ニーズを積極的に生産や流通に活かし、技術や所得の向上を図ります。そのための農業関係情報の積極的な発信、農産物のブランド化や高付加価値化、産地づくりを目的に、複合アグリビジネス拠点整備事業を推進します。
- 自然にやさしい農業の推進
環境問題への関心が高まる中、農薬や化学肥料の低使用、土づくりや有機農業の推進などにより、自然にやさしい環境保全型農業を進めます。
特に、土づくり推進対策事業により、堆肥化施設を整備し、良質な堆肥の生産と普及促進を図ります。
- 地産地消と消費者交流の推進
生産者のみならず、市民や消費者も含めた視点が重要となっており、様々な交流の機会を通じて、農業に対する市民や消費者の理解を促進するとともに、地域で生産された農産物の地域での消費拡大を進めます。
- 働きやすい労働環境の整備
- 多様な能力開発機会の提供と就業機会の創出
雇用・就業を希望する人々が、その適性や意向に応じて就業可能な社会に向けて、久留米地区職業訓練協会や久留米コンピュータ・カレッジなどの充実による能力開発の機会の提供を行います。また雇用促進を図るための援助制度、就業面談会、就業相談などを行い就業機会の創出を進めます。
さらに高齢者や障害者などの就業の場の確保に努めます。
- 快適な労働環境の整備
女性の社会進出や情報技術の革新、高齢化社会の到来など労働環境が多様化する中で、勤労者一人ひとりがいきいきと働き、その能力を十分に発揮できる労働条件や職場環境整備など、労働者、使用者、行政の綿密な連携をとりながら、健康で安心して働ける労働環境の整備を図ります。
4.戦略事業
戦略事業表
事業名称 |
事業内容 |
事業目標 |
新産業創出支援体制充実事業 |
ベンチャーマインドの醸成を図るとともに、地域の中核的支援機関のコーディネート機能の強化、技術開発支援、研究成果の技術移転、経営指導、販路拡大、人材確保などを進めます。 |
平成22年度までに、法で認定された新しい事業開拓にチャレンジする企業数が24社以上を目指します。
(平成7〜11年度…7社) |
新規事業化プロジェクト誘致・設置事業 |
地域の次代を担う産業分野の支援、新事業創出を目指して、地域の学術研究機関の技術移転プロジェクト、公的資金を活用した研究プロジェクト等の設置を進めます。 |
平成22年度までに新規プロジェクト10件の立上げを目指します。
(平成11〜12年度…1件) |
企業誘致推進事業 |
経済の新たな活力を生み出すため、ビジネスパークや南部流通団地等に戦略的な企業誘致を行い、産業集積と経済基盤の安定化を進めます。 |
平成22年度までに産業団地への戦的な企業の誘致数30社以上を目指します。 |
オフィスアルカディア建設事業 |
オフィスアルカディア地区の基盤整備を完了し、地区内の中核交流施設であるビジネスプラザの建設、入居を進めます。 |
平成18年度までに、60区画の分譲完了を目指します。
(平成12年度…6区画) |
新産業団地建設事業 |
市内企業の移転や新たな企業立地の受け皿となる魅力ある南部流通団地などの産業団地を計画的に整備します。 |
平成22年度までに、新たな産業団地を整備し、10社以上の企業誘致を目指します。 |
多様な担い手育成事業 |
次代の農業を担う認定農業者、新規就農者、農業法人などの多様な担い手の育成を進めます。 |
平成22年度には、認定農業者260人、新規就農者年間5人の育成を目指します。
(平成11年度…155人、年間4人) |
土づくり推進対策事業 |
畜産糞尿の堆肥化施設整備と堆肥化の推進、堆肥の利用推進による土づくりを一体的に進めることで、良質堆肥の普及推進、化学肥料や農薬の低減、自然循環システムの確立を図ります。 |
平成22年度に、完熟堆肥の生産(約9,000トン)とこの堆肥の利用率が、市内の水田面積に換算して20%以上を目指します。 |
複合アグリビジネス拠点整備事業 |
地域農業の再構築を目的に、情報発信、販売、加工、体験機能等を持つアグリビジネス拠点を整備し、農産物のブランド化、高付加価値化、産地づくりなどを推進します。 |
本市農業の積極的な情報発信と農業所得の向上を図り、拠点整備後、年間販売額3億円を目指します。 |
第2節 アジアに開かれた学術研究のまちに
1.展望と課題
- わが国の経済社会は、今までのような欧米キャッチアップ型から世界のフロントランナーの一員として、自らが自らの力で未来を切り開く時代に突入しており、独創的・先端的な技術や知恵を生み出す知的資源、それらの源泉となる学術研究機関の機能・役割が高まっています。
-
地域社会においても、社会的な知恵や技術を生み出す源泉として、地域づくりのベースとしての重要性は益々高まっており、九州北部においても地域特性を生かしたネットワーク型の「九州北部学術研究都市整備構想」(通称:アジアス九州)が策定され、日本における学術研究拠点整備の方向が示されています。
-
本市には5つの高等教育機関が存在するとともに、テクノポリス建設推進に伴うバイオ関連の公的試験研究機関等の拡充などにより、本市の学術研究機能は着実に集積されてきましたが、今後、新産業創出や地域社会活動の基盤となり、九州・アジアをリードする学術研究拠点となり得るためには、一層の学術研究機能の拡充が不可欠であり、学術研究機能の集積を地域の視点で生かす取り組みの充実が求められています。
-
また、こうした学術研究機能の重要性は全国、各地域で強く認識されつつあり、多くの地域、都市で特徴ある大学等の誘致・創設の動きが活発化し、いわば都市間競争に突入しており、都市として戦略性を持った重点的な機能拡充が求められています。
2.戦略的視点
- アジアス九州と連動し、地域発展さらには世界、アジアの発展に貢献できる九州北部の学術研究拠点にふさわしい機能の集積と、これを基盤とした社会システムの形成をめざすため、市内にある大学等の学術研究機能の更なる拡充を支援します。
また新たな学術研究機関の誘導や国、県や民間の研究プロジェクトの積極的誘導を推進します。特に、バイオテクノロジー分野については、これまでの研究機能集積を核に更なる集積を進め、アジアス九州におけるバイオテクノロジー拠点の役割を担っていくような、世界・アジアの中核的な拠点となり得る学術研究機関の誘致・設置を検討します。
-
さらに、新産業創出の支援、学術研究や人材の国際交流、市民の創造的な活動の支援、学術研究機関の持つ資源・知識・設備の地域開放、キャンパスゾーンの整備や国際シンポジウムの開催など、学術研究機能の地域展開を推進し、地域に大学等の姿がみえるまちづくりを展開します。
3.施策の内容
- 学術研究機能の集積促進
- 多様な学術研究機能の充実
市内にある既存の大学などの、学術研究機能の主体的な拡充・強化を促進していくとともに、長期的観点から、それら機関等の中核となり得る理工系大学院大学などの学術研究機関の誘致・設置を検討します。
- 先導的学術研究プロジェクトの設置誘導の推進
バイオテクノロジーなどの本市の次代を担う先端的な分野において、国や県、民間などの先導的なプロジェクトの設置・誘導を図り、併せて市内の既存の試験研究機関などとの連携の強化を進め、学術研究機能の集積を図ります。
- 学術研究拠点ゾーンの整備推進
本市の新たな学術研究機能が集積する拠点として、新たな試験研究機関やプロジェクトの施受け皿として、長期的な視点から、宮ノ陣学術研究業務ゾーンの整備を検討するとともに、その実現に向けて取り組みます。
- 大学等の姿が見えるまちづくり
- 新産業創出を先導する産・学・官研究ネットワークの強化
産・学・官のニーズとシーズのマッチングや人材交流等により産・学・官の有機的連携を促進するとともに、大学や試験研究機関等の研究成果を活用した事業化の促進、新産業創出に向けた環境整備を進めます。
- 国際的な学術交流拠点づくり
地域の国際化が進展する中で、大学などにおける研究活動や人材育成などの面においても、研究者や留学生の受け入れや相互交流などを図るとともに、大学等の海外の大学や研究機関との連携を促進し、国際フォーラム等の開催等本市地域の主体的な国際交流活動の展開を進め、真に国際的な学術研究情報の交流拠点形成を図ります。
- 大学と地域の連携推進
これからの都市づくりにおける様々な分野での、大学などの先導的な役割の意識醸成を図りながら、それらが有する人材や施設、研究成果などの積極的な地域開放、NPOや市民活動との連携促進を図ります。
- キャンパス・タウンの整備
御井地区などの既存の大学や短大が集積する地区において、大学のある街にふさわしい風情と生が行き交う賑わいのあるキャンパスタウンとして、道路整備をはじめとする都市環境の整備を進め、学生が活動し、姿が見える街づくりを進めます。
4.戦略事業
戦略事業表
事業名称 |
事業内容 |
事業目標 |
学術研究機関・プロジェクトの誘致・設置事業 |
本市の学術研究機関の研究集積を生かした、学術研究プロジェクトの設置を支援するとともに、リサーチパークやオフィスアルカディア地区内などへの研究プロジェクト・機関の誘致を進めます |
平成22年度までに、5件の研究プロジェクト誘致を目指します。
(平成1〜11年度…5件) |
第3節 人と情報が行き交うにぎわいのあるまちに
1.展望と課題
- 全国的な傾向として、地方都市の中心市街地では、商業機能などの空洞化が進み、その活性化が大きな課題となっています。本市でも福岡市の商業求心力の拡大、モータリゼーションの進展にともなう周辺市町への郊外型ショッピングセンターの進出、ロードサイドへの出店などの立地環境の変化、ワンストップショッピングや通信販売、インターネットを利用した電子ショッピングなどの消費動向の変化の中で、都心部の商業求心力が急速に低下し、都心部商業地域に人が集わない状況が深まり、大きな課題となっています。
-
このような状況の中、これからの都心部地域には、商業や金融・業務、アミューズ、医療などの個別機能の単なる集積だけではなく、広域から人々が集い、行き交い、賑わいや出会いがあり、良質な刺激を受ける多様で密度の濃い空間が必要となっています。また本市が持つ自然、歴史、文化を活用した人々の集い、賑わいを集積する機能を整備する必要があります。
-
特に本市の広域求心力を高めていくためには、都市の中に交流やコンベンション、活動の場や仕組みなど、良質な刺激を生み出し、交流や活動がスムーズに行われるような環境整備が不可欠となっています。そのため、広域商業機能の再生と併せて、多様な人々が楽しみ、活動し、交流する空間の整備や観光基盤の整備を進めていく必要があります。
2.戦略的視点
- 広域の人々の様々なニーズに対応し、創造性を刺激する多彩な楽しみに溢れ、交流や活動の場にふさわしい都市空間の整備を進めるとともに、そこでの人々の活発な活動を通して新たな情報が発信される、人と情報が行き交う、賑わいのあるまちづくりを進めます。そのため、賑わいと新たな文化や豊かな生活を創り出す、都心部商業や地域商業などの本市商業の振興を積極的に図ります。
-
特に都心部商業については、身近さ・親しみやすさ、専門性などの魅力の充実に加え、活動や交流などの空間整備を進めるとともに、商業者、市民活動団体、TMO、行政などの連携の下、多彩なイベント、活動、刺激を演出して広域的な賑わい空間の創出を図ります。
-
中心市街地は、様々な人々が暮らし、活動・交流し、楽しむ都市的生活の場として、美しい街並、バリアフリーの歩行空間などの整備を進め、街を楽しめる様々な機能を集積した広域多機能拠点として再構築に取り組みます。
3.施策の内容
- にぎわいと豊かな生活文化を創出する商業などの振興
- 都心部商業の活性化
都心部商業については、アーケード化・モール化などの都心部商業基盤の整備支援を行うとともに、商業祭や水の祭典をはじめとする都心部活性化イベントを支援します。
また、中心市街地の商業集積の一体的で計画的な整備、マネージメントを行うTMOの活動を支援し、都心部商業の再構築、活性化を図ります。
- 地域商業の活性化
市内の既存の地域商業については、地域商業活性化ビジョンなどを基に、空き店舗対策などによる商店街の空洞化対策を行うとともに、長年地域に密着してきた利点を活かして、地域の交流の場としても様々な地域生活を支援する地域商業の振興を図ります。
また、複雑多様化する消費環境に対応して、消費者講座やモニター制度などによる消費者の意識啓発を図るとともに、消費生活に関する情報の収集・提供や消費者相談等による消費者保護を推進します。さらに、適正計量を推進するとともに、計量販売商品の量取引の推進に努めます。
- 総合的な商業等の集積促進
低下している本市の広域商業吸引力を高めるため、これまで蓄積した様々な都市機能を強化すると共に、それらとの調和を図りながら、消費行動の多様化など環境の変化に対応した総合的な広域商業魅力の創出を図ります。
- 人が集い楽しむ場と機能の整備
- 中心市街地の再整備
拠点都市機能の充実強化を図るために中心市街地の再整備を進めます。特に、中心市街地のコアゾーンである都心部商業地域の再開発事業などによる再整備や、九州新幹線の整備と連動したJR久留米駅周辺の整備推進を図るとともに、花畑駅周辺土地区画整理事業を進め、様々な都市機能が集積し、快適に暮らし、活動できる、多機能拠点としての再整備を図ります。
- 多様な賑わい空間の創出
久留米市中心市街地活性化基本計画に基づき、池町川や東町公園の環境リニューアル、都心部の空き地を活かした交流広場などのスポット施設整備、市街地のランドマークを回廊的に緑陰歩道などで結ぶ緑のシンボルロード整備などの多様な賑わい空間の整備を進めます。
- 個性を生かしたコンベンションの振興
ウォーキング大会など多様なスポーツイベント開催によりスポーツコンベンションを振興するとともに、学会などの多彩なコンベンションの誘致を図ります。また、財団法人久留米市観光コンベンション協会を核とした支援、協力を図るとともに、総合都市プラザ建設実現に向けて検討を進め、観光コンベンション都市づくりを総合的に推進します。
- 魅力ある観光地づくり
水や緑などの自然環境、神社や仏閣などの歴史的資源や伝統的な町並みなどの、本市固有の観光資源を活用して、観光ルートや案内板などのサイン整備、観光施設の整備拡充などを進め、魅力ある観光地づくりに取り組みます。
- 国際性豊かなまちの実現
- 魅力ある観光地づくり
水や緑などの自然環境、神社や仏閣などの歴史的資源や伝統的な町並みなどの、本市固有の観光資源を活用して、観光ルートや案内板などのサイン整備、観光施設の整備拡充などを進め、魅力ある観光地づくりに取り組みます。
- 国際化のための基盤整備
案内板などの外国語表示、ガイドブック作成や生活情報の提供などの、外国人が暮らしやすい都市づくりや国際交流拠点の整備によって、国際化に対応した都市づくりを進めます。
4.戦略事業
戦略事業表
事業名称 |
事業内容 |
事業目標 |
中心市街地再整備事業 |
あけぼの、新世界地区等の市街地再整備事業を推進し、都市の魅力づくりと拠点都市機能の向上を図ります。 |
平成22年度に、土地の高度利用を図るとともに、都心部吸引人口(商圏から都心部商店街を訪れて買物をする人の数)を平成5年度水準(218,000人)へ復元することを目指します。
(平成10年…131,000人) |
JR久留米駅周辺整備事業 |
九州新幹線整備と連動し、市の玄関口であるJR久留米駅周辺における土地の合理的な高度利用と商業や文化、情報の拠点としての魅力を高めるとともに、災害に強い快適な生活環境と賑わいのある街づくりを目指します。 |
平成24年のJR久留米駅の1日当たりの乗降客数が20,000人となることを目指します。
(平成10年度…12,700人) |
花畑駅周辺土地区画整理事業 |
都心部における良好な居住・生活環境の再整備を目的とした、西鉄花畑駅周辺土地区画整理事業を推進します。 |
平成17年度事業概成のため、道路等公共用地整備率100%を目指します。さらに、地区内道路の整備、駅前広場の整備、構内駐輪場の新設等により花畑駅の交通アクセス機能の強化と西鉄久留米駅と連続性を持った、快適で魅力ある都市空間実現を図ります。 |
都心部商業活性化事業 |
TMOへの支援、都心部の活性化イベントへの支援、アーケード整備などの商業基盤整備への支援を行い、都心部の商業の活性化を図ります。 |
平成22年には、
(1)都心部吸引人口(商圏から都心部商店街を訪れて買物をする人の数)を平成5年度水準(218,000人)へ復元することを目指します。
(平成10年…131,000人)
(2)都心部における空き店舗の割合が1.0%になることを目指します。
(平成10年…8.4%) |
都心部にぎわい空間整備事業 |
池町川や東町公園の環境リニューアル等、都心部ににぎわいのある空間の整備を進めます。 |
平成22年には「都心部商業活性化事業」における事業目標をハード整備において支援し、都心部吸引人口(商圏から都心部商店街を訪れて買物をする人の数)を平成5年度水準(218,000人)へ復元することを目指します。
(平成10年…131,000人) |
第4節 拠点都市の役割が果たせるまちに
1.展望と課題
- 佐賀県東部を含む福岡県南部地域の拠点都市として、本市には、広域的な就業の場、機会の提供、商業・娯楽・文化などの都市的な楽しみや交流、賑わい、さらには医療・福祉・教育・行政サービス、国際交流・コンベンション・学術研究機能などの高次都市としての役割が期待されます。
しかしながら本市の広域的な拠点機能は、相対的に低下しつつあり、広域都市圏の拠点都市としての役割が果たせるよう総合的な都市機能の再構築が求められます。
-
広域交通を始めとする交通機能については、モータリゼーションが進展する中で、道路交通量は増加を続け、道路整備が交通量の増大に対応できない状況になってきており、バスや鉄道などの公共交通機関への転換促進など交通政策の抜本的な見直しが迫られています。
-
また地球規模で急速に進展する情報通信ネットワーク社会は、これまでの仕組みや経済活動、生活様式を大きく変化させつつあり、こうしたIT革命と呼ばれる社会経済環境の変化への対応が不可欠です。
2.戦略的視点
- 時代潮流などの長期的な展望を見据えて、周辺地域からの期待に応えるとともに、県下第3の都市圏の広域交流拠点都市としての役割が果たせるまちづくりを進めるため、商業や娯楽、文化、教育、医療や福祉などの広域拠点機能の整備・拡充を図ります。
-
また、本市の広域拠点機能を強化するため、多様な魅力を備えた新市街地の整備を進めます。
-
都市発展の基礎となる交通機能については、広域から本市への円滑な移動、市域内での円滑な移動が可能となるように、道路整備と併せて公共交通などへの転換を図ります。そのため外環状道路などの幹線道路ネットワークの着実な整備を進める一方で、鉄道の機能強化やコミュニティバスなどの検討、更には交通結節機能の強化を図るなど、総合的な交通施策を展開します。また九州新幹線鹿児島ルートは、行動圏域の大幅な拡大のみならず、人・物・文化の交流、新しい産業やビジネスの創出などの経済波及効果も大きく、早期建設に向けて市民一体となった取り組みを進めます。
-
情報通信ネットワーク社会の進展に対応し、人々や企業などが情報を発信し、自由闊達な活動を展開する基盤となる高速で大容量の情報通信ネットワーク網の整備や、様々な分野での情報通信技術を活用した地域社会システム構築などによる高度情報都市の実現を図ります。
-
高齢化の進展や難治病が増加傾向にある中で、本市には多くの高度医療技術を有する医療機関が集積しており、こうした地域特性を生かし高度医療情報ネットワークの構築やさらなる高度医療技術の研究開発機能の集積を図り、広域高度医療サービス機能と高度医療研究開発拠点機能が複合化した高度医療都市づくりを進めます。
3.施策の内容
- 人権意識の確立
- 人権教育・同和教育の充実
「人権教育のための国連10年・久留米市行動計画」に基づき、あらゆる機会や場を捉えて、差別をなくす意欲と実践力を身につけた豊かな人権感覚を持った市民を育成する人権教育・同和教育を実施します。特に、小・中学校の9年間を見通した系統的な人権学習の確立や、家庭・地域との連携を深め、地域の教育力を活かした学校教育と社会教育が連携した人権のまちづくりなど人権教育・同和教育を充実します。また、人権教育・同和教育を効果的に実施する教育プログラムや教材の開発、人材の育成等の整備を図るとともに、教育関係者をはじめとする人権への関わりが深い人への人権教育の充実を図ります。
- 市民啓発活動の推進
同和問題をはじめとするあらゆる人権問題は、市民の正しい理解と認識が基本であり、市民主体の学習を促進するために、広報による市民啓発、学習に必要な情報・場・機会の提供や学習リーダー等の人材育成、市民意識調査の実施など市民啓発活動の充実を図ります。また、人権啓発の拠点施設である人権啓発センターの効果的な活用により、市民による主体的な人権問題解決のための学習活動を支援します。
さらに、市民主体の学習活動を実施する全市的な組織体制や校区ごとの組織体制の整備・充実及びその支援に努めます。
- 同和対策の充実
- 生活環境の整備・改善
健康で文化的な生活を営むことができる良好な居住環境の整備や、道路整備事業、公園整備事業など生活環境の整備を進めます。
- 職業安定施策の充実
就職の機会均等の保障や安定した就業の場を確保し、生活の安定向上を図るために、関係労働行政機関等との連携のもとに、人材育成、関係情報の交換、職業相談の充実等職業安定施策を充実します。
- 社会福祉の増進
心身ともに健康で文化的な生活が保障されるように、同和保育の推進や高齢者福祉対策、健康づくり支援施策や隣保館・教育集会所の整備充実など、地域福祉の向上を進めます。
- 男女の自立と男女共同参画社会の実現
- 男女平等のための意識づくり
性による固定的役割分担意識を是正し、市民の男女平等の意識づくりを図るために、男女平等に関する市民意識調査、広範な啓発事業・教育事業、性差別を人権問題として捉えた様々な相談事業、女性問題に関する各種の情報の収集・提供を行います。また、啓発をはじめとする事業実施の拠点である男女平等推進センターの機能を活用し、市民が女性問題を主体的に学び解決する活動を支援・促進します。
- 男女共同参画の社会環境づくり
政策方針決定の場や社会活動への男女共同参画を図るために、女性の人材育成や各種審議会や各種団体等への女性の積極的登用や、地域活動や社会活動への参画を促進する環境整備を進めます。また、男女雇用機会均等法の定着、労働環境に関する情報の収集・提供、女性への就業支援として職業能力の開発などにより働く場における男女平等の推進を図ります。
- 男女が共に自立し、豊かで安心できる生活への支援
次世代へ生命を引き継ぐ重要な役割を担う母性については、生命の尊厳、人格の尊重に基づく正しい認識のもとに、生涯にわたる保護と健康づくりなどの支援を進め、家事・育児・介護を含む家庭生活などにおいて男女が共に自立し、平等に責任を担える環境整備を図ります。
4.戦略事業
戦略事業表
事業名称 |
事業内容 |
事業目標 |
合川リバーパーク拠点地区整備 |
商業・娯楽機能等の都市魅力向上と新たな居住環境整備を目的とした、合川北土地区画整理事業、合川南土地区画整理事業を推進します。 |
平成22年度までに、魅力ある広域的な複合機能拠点の形成並びに、400人の定住人口を目指します。
(平成11年度…12人) |
安武駅東土地区画整理事業 |
交通インフラの整備と住・遊バランスのとれた複合都市空間の整備を目的とした、安武駅東土地区画整理事業を進めます。 |
県道久留米柳川線バイパス整備や西鉄大牟田線の複線化とあわせ、定住人口3,800人を含む複合機能拠点形成を目指します。
(平成11年度…610人) |
総合交通ネットワーク事業 |
公共交通機関相互の結節機能の強化、自動車交通の適正化、公共交通機関の利用促進、バリアフリー化の促進等を進め、定時性安全性の高い総合的な交通環境の形成を図ります。 |
平成22年度までに、アクセス機能の強化や、駅前広場の整備により通勤通学者公共交通機関利用率が27%(平成2年度利用率)以上になることを目指します。 |
JR久大本線活性化事業 |
久大本線の機能強化、利便性向上を図るため、新駅の設置や列車の増便増発、専用ホーム・専用軌道の整備に取り組みます。 |
平成24年のJR久大本線の1日当たりの乗降客数が、7,000人以上となることを目指します。(平成10年度…1,500人/日) |
九州新幹線建設促進事業 |
広域的鉄道機能の幹線である、九州新幹線の早期建設、新幹線久留米駅の整備促進に取り組みます。 |
概ね平成24年度までに、九州新幹線鹿児島ルートの博多〜船小屋間が開業することを目指します。 |
西鉄花畑駅付近連続立体交差事業 |
鉄道で分断された地域の一体化と道路交通環境の改善、都市機能の向上を目的とした、西鉄久留米駅〜市道津福本荒木C3号線の連続立体交差事業、関連側道整備を進めます。 |
平成17年度に、踏切6個所の解消により踏切1ヵ所当りの平均遮断時間4.6時間/日の解消を目指します。 |
外環状道路整備事業 |
都市の骨格となる外環状道路東合川野伏間線の内未供用区間である国道3号から国道322号間の整備を進めるとともに、西及び北への延伸についても取り組む等、都市内道路ネットワークの改善を図ります。 |
市施行区間(3号線〜北島交差点)の平成17年度完成を目指し、都心部に集中する自動車交通を分散し、主要な幹線道路における日常的な交通渋滞の緩和を図ります。 |
中環状道路整備事業 |
都市の骨格となる中環状道路合川町津福本町線の内、未供用区間である国道210号から国道322号間の整備を進め、都市内道路ネットワークの改善を図ります。 |
平成20年度完成を目指し、都心部に集中する自動車交通を分散し、主要な幹線道路における日常的な交通渋滞の緩和を図ります。 |
広域放射幹線道路整備事業 |
国道3号東櫛原現道拡幅整備、国道209号津福バイパス整備、国道264号バイパス整備、県道久留米柳川線バイパス整備を推進するとともに、国道3号と国道210号の立体交差化、国道3号・国道210号・国道322号の機能強化等、広域幹線道路の機能強化に取り組みます。 |
福岡県南の広域都心の拠点としての役割を果たすため、中小都市間を結ぶ広域幹線道路ネットワークの強化を目指します。 |
大外環状道路整備事業 |
道路交通の改善を目的とした、大外環状道路整備の一環として、県道三潴上陽バイパスの整備に取り組みます。 |
久留米市南部及び隣接市町からの広川インターへのアクセス機能の強化を目指します。 |
都市計画マスタープラン策定事業 |
都市計画の基本となるマスタープランを策定し、広域的な視点にたった都市づくりを進めます。 |
平成14年度のマスタープラン策定により、土地利用と都市施設整備方針を明らかにし、その実現へ向け、市民の理解を求めていきます。 |
地域統合イントラネット構築事業 |
生涯学習、NPO、地域活動などのコミュニケーション環境実現、医療・福祉ネットワーク、図書館広域ネットワーク、行政情報サービスなどの公共情報サービス、電子商取引、電子ショッピング、企業間・企業内ネットワークなどの開放的で安全性の高いフルサービス型の地域イントラネットの構築を図ります。 |
平成22年度の久留米市のホームページへのアクセス件数が、年間76万件以上となることを目指します。
(平成11年度…6万2千件) |
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