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更新日:2025年06月30日 10時00分
7月は同和問題啓発強調月間です。50年前の昭和50(1975)年に「部落地名総鑑購入事件」が発覚しました。全国の同和地区の所在地を記した9種類の差別図書を企業など220余りの団体が購入。採用にあたって同和地区の人を排除するために利用していました。企業の差別体質が厳しく問われ、大きな社会問題になりました。
これをきっかけに、同和問題解決に向けた活動に取り組む企業が全国で増えていきました。久留米地区でも久留米市、うきは市、大川市、大木町、大刀洗町の企業約200社が参加する「久留米地区企業内同和問題研修推進委員会」を設立。公正な採用選考体制の確立や企業内研修の推進に取り組んでいます。
福岡地区の企業で構成する「福岡市企業同和問題推進協議会」のメンバーでもある西日本鉄道株式会社(以下、西鉄)のコンプライアンス・人権推進課の吉田真己さんと海口一義さんに、企業活動と人権問題について聞きました。
私たち西鉄グループは、昭和58(1983)年に「同和問題推進委員会」(現在の人権・同和問題推進委員会)を設立。長年にわたり、グループ企業全体で同和問題をはじめとする人権問題に取り組んできました。
しかし、平成23(2011)年に土地差別事件を起こしてしまいました。グループ内の不動産会社の社員が、土地の売買のために同和地区の有無を調べたのです。
売り上げのためにと、よかれと思ってしたことですが、これは企業として恥ずべきこと。事件後、「常に人権に対する真摯(しんし)な態度を忘れてはならない」と、改めて社員一人一人の人権意識の高揚と啓発に努めています。
社内研修を繰り返し行い、差別落書きなど人権問題が起こったときの対応マニュアルを整備しました。もし、差別を助長するような問い合わせがあっても「差別につながる質問にはお答えできません」と毅然(きぜん)と対応。過ちを繰り返さないよう徹底しています。
企業が自社の利益を追求するのは当然のこと。しかし、そのために人権をないがしろにすることは許されません。
人権より利益を優先すれば、一時的には利益が得られるかもしれません。けれど、差別をしない、人権問題に真剣に向き合う姿勢は多くの顧客の信頼を得ていく。最後はそんな企業が残っていくと思います。
そういった意味で、利益追求と人権尊重は両立すると私たちは信じています。
社内研修を強化するのは、他にも目的があります。それは、社員を通じて、家庭や地域に正しい理解と認識を広めること。
人権問題を初めて知ったきっかけが「学校」という人が多数を占めていますが、なかには、「家族・親戚」という人も。残念ながら、そこで間違った知識や偏見を刷り込まれてしまう人が少なからずいます。
子どもは、親など家族からの話に影響を受けやすく、その後の人権意識を左右します。そこで、社内研修で改めて正しい知識を得て、子どもや孫にしっかり伝えてほしいと思います。社員みんなが「差別は許されない」という認識を持つことがこの問題を解決する第一歩です。
現在はインターネットの普及もあり、人権教育の重要性がさらに増しています。インターネットは便利なものですが、誤った情報がさも正しいことかのように掲載されていることも。正しい知識がなければ、そんな誤った情報を見分けることができません。そんな時代だからこそ、学びが重要です。
まずは、学校や職場、家庭でみんなが正しい知識を学び続けていくことが大切。みんなが正しい知識を持つことが、差別をなくすことにつながるのです。
【問い合わせ先】人権・同和対策課(電話番号:0942-30-9045、FAX番号:0942-30-9703)
同和問題啓発強調月間に合わせ、パネル展「今、部落差別を考える」を開催します。
期間:令和7年7月1日(火曜)から30日(水曜)までの9時30分~17時
会場:えーるピア久留米
【問い合わせ先】人権啓発センター(電話番号:0942-30-7500、FAX番号:0942-30-7501)