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更新日:2025年05月30日 10時00分
認知症の人が暮らすグループホームを運営する「さくら苑」代表の重永啓輔さんに聞きました。
平成15年にグループホームを開設しました。当時、認知症は「痴呆(ちほう)症」と呼ばれていて、周囲には知られたくない病気だと思われていましたね。20年が経ち、認知症への理解が進みましたが、病気になったら全て忘れると誤解されていることが多いです。認知症の初期段階では、自分が物事を忘れつつあることに気づいているのではないかと思います。分からなくなったことに戸惑い、気持ちが抑えられずに手が出たり、手がかりを見つけようと徘徊(はいかい)したりすることがあります。
「お子さんは何人ですか」と聞かれても、分からない自分にショックを受けてしまう。そんな時、「娘さんが4人いるって聞きましたよ」と声をかければ、「あーそうやった」と記憶が戻ります。全てを忘れているわけではなく、自分に子どもがいるのは分かるし、誕生日を覚えていることもあります。忘れることが増えても、周りの人が「忘れたってよかよか。私が覚えとるけん大丈夫」と伝えれば、「それなら安心ね」と落ち着くのです。
一方、家族は何度も同じことを聞かれてストレスがたまったり、親の変化が悔しくて、気持ちのやり場がなくなることもあります。そうなる前に息抜きが大切。介護スタッフは、本人が病気を患っていることを前提に接します。「家に帰りたい」と言えば、一緒に施設を一周する。「さぁ、帰ろうか」と声をかけたら、本人も落ち着いて施設に戻って行きます。
今は「親が認知症になった」と言いやすくなっていて、病気への捉え方が変わったと感じます。長生きすれば体の不調が出てくるのは当然。介護サービスをうまく頼りながら、家族も本人も笑顔で過ごせる「今」を増やしていきたいですね。
【問い合わせ先】介護保険課(電話番号0942-30-9247、FAX番号0942-36-6845)
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