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更新日:2025年04月30日 10時00分
子どもたちが学び成長する場である「学校」。
未来を生きる子どもたちのため、学校のこれからを一緒に考えてみませんか。
【問い合わせ先】教育部総務(電話番号0942-30-9213、FAX番号0942-30-9719)
今、学校を取り巻く環境はどうなっているでしょうか。
まずあげられるのが、全国的に進んでいる人口減少・少子化です。久留米市も例外ではありません。市の出生数は昭和48(1973)年の4958人をピークに減少し続けています。令和4年度は2299人。ピーク時の半分以下になっています。
さらに、市の推計では、令和27(2045)年までの20年間で0歳から14歳までの年少人口が今より1万1000人減ると見込んでいます。これは令和5年度と比べて子どもが3割以上少なくなる計算です。
少子化に伴い、小学校の児童数も減っています。市立小学校の児童数は、昭和57(1982)年度の27387人がピーク。令和5年度は16825人に減っています。さらに、令和12(2030)年度には14210人とピーク時の約50%になると推計しています。
市は、昭和40年代から50年代に子どもの数が急増したため、多くの学校施設を一斉に建設。それらの施設の老朽化が進み、改築や改修の時期を一斉に迎えます。
学校施設の老朽化対策には、多額の費用と長い年数がかかります。しかし、改築に対する国の補助金の要件が厳格化されるなど、その費用の確保は非常に難しい状況です。
子どもたちが安心して学ぶことができる安全な学校施設をどのように維持・向上していくのかを考える必要があります。
人口減少・少子化が進む中、学校統合は全国で進んでいます。令和元年度から令和5年度までの5年間で1773校の小・中学校が755校に統合されました。
久留米市においても少子化と学校施設の老朽化という問題に直面する中、学校統合の議論は避けられません。
令和12年度に全学年合計で11クラス以下の「小規模校」となる市立小学校は、18校になる見込みです。2学年以上が1クラスとなってひとつの教室で学ぶ「複式学級」が見込まれる「過小規模校」は2校。小規模校と過小規模校を合わせると全43校の半数近くにのぼります。
こうした状況をふまえ、市は、平成30年10月に「久留米市立小学校小規模化対応方針」を策定。全ての学年でクラス替えができる1学年2クラス以上の学校規模を目指し、未来を担う子どもたちのより良い教育のために、学校統合を進めています。
この方針に基づき、保護者や地域の皆さんの理解を得ながら、令和3年4月に市で初めて下田小と浮島小が城島小と統合。令和7年4月には青峰小と高良内小が統合し、令和8年4月に大橋小と善導寺小が統合する予定です。
学校統合は、どのような効果があるのでしょうか。
まず、一定の児童数が確保されることで、チーム競技や合唱など集団活動の幅が広がります。クラス替えができることで、人間関係の固定化を避けられるようになり、多様な考えに触れ、自分の考え方を深めるなどの社会的経験が広がります。
学校全体で見ると、子どもたちが主体で運営する児童会やクラブ活動がより活発になります。
一方で統合による影響も考えなければなりません。人間関係や環境の変化に不安を感じる子どもへのサポートが大切。併せて、通学路の整備など安全面での対応も必要です。
市は、学校統合を進める際、まず、学校や保護者、地域で協議する統合準備協議会を設置。統合後に子どもたちが安心して、楽しく通えるよう、統合する学校同士の交流事業や通学路安全対策などを実施しています。
今、子どもたちを取り巻く環境は常に変わっており、予測困難。そんな時代を生き抜くためには多様な価値観を持つ人と、意見を出し合い、尊重しながら解決策を見いだす力を育む必要があります。そのためには一定の集団規模が確保された教育環境が必要です。
全国的にも人口減少・少子化が大きな流れとなり、市立小学校の小規模化が進んでいます。今を生きる私たちには、この課題を先送りすることなく、現実に向き合い、次の世代へより良い形でバトンを渡す責任があります。
子どもたちが時代の変化の中で健やかに成長し、自らの可能性を広げられるように、私たちはどのような教育環境を整えるべきか。未来を生きる子どもたちのより良い環境の実現に向けて、私たち市民一人一人が当事者として、今、真剣に考えるときです。
令和3年4月に城島小と統合した下田小と浮島小。
統合を経験した児童や保護者は今、どう感じているでしょうか。
統合後にとったアンケート結果の一部を紹介します。