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インタビュー 「突然、犯罪被害者遺族になって」

更新日:202109090848


 11月25日から12月1日は「犯罪被害者週間」です。

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 久留米市内の令和元年刑法犯認知件数は1,998件。
 その数だけ犯罪被害者がいます。
 犯罪被害は、いつ誰に起こるかわかりません。決して他人事ではないのです。
 被害に遭った人や家族が一日でも早く平穏な暮らしを取り戻すには、私たちが犯罪被害者等の置かれた状況を理解することが大切です。

 平成10年に、大学3年生だった次男(当時20歳)を傷害致死事件で亡くされた廣瀬小百合さんにお話しを聞きました。

  • 廣瀬小百合さん 
    平成23 年に九州・沖縄犯罪被害者連絡会「みどりの風」を設立。
    同連絡会の会長を8 年務め、現在は顧問。被害者同士の交流や支
    援をはじめ、犯罪被害者の実情を発信。
    昭和25(1950 年)年生まれ。

 (注意)刑法犯とは、殺人、強盗、放火、強制性交等、暴行、傷害、窃盗、詐欺などの犯罪。交通事故は含まない。

ある日突然、犯罪の被害者となって

 息子は、とてもやさしく、おとなしい子でした。熊本で一人暮らしをしながら大学に通い、建築の勉強をしていました。建築士として働いていた私の影響を受けて、息子も「建築士になって、一緒にお母さんの設計事務所を大きくする」と言っていました。
 息子は、アルバイト帰りに、繁華街で酒の入った同世代の男性2人の間を自転車で通りぬけたそうです。それがトラブルになり、顔を1回殴られ、その場に倒れ頭を地面に打ち付けました。後で分かりましたが、息子を殴った相手はボクシングを習ったことがあったそうです。深夜、熊本県警から連絡を受け、夫と二人ですぐに熊本の病院に駆けつけました。ベッドに横たわった息子の顔には傷はなく、すやすやと眠っているようで安心しました。しかし、医師からは「残念ながら、手の施しようがありません」と告げられました。頭部のレントゲン写真は血で真っ白に。外傷性くも膜下出血で亡くなりました。それからの記憶はありません。

理不尽な判決

 事件の詳しい内容を知ったのは、裁判の時です。裁判では、弁護士や検事、加害者の話をしっかり聞いてメモを取らないといけないと臨みました。しかし、加害者の二人を傍聴席で初めて見た瞬間、あふれ出てくる涙で何もできませんでした。私は、検察官の質問に「息子を返してください」と繰り返すばかりでした。加害者は、初犯で凶器を使っていない、自首したこと等から執行猶予付きの有罪判決になりました。「息子は帰ってこないのに、どうして加害者は刑務所にも入らず普通の生活に戻れるのか」と、あまりの理不尽さに納得がいきませんでした。
 事件後は、一時は建築士の仕事をやめました。笑ってはいけない、楽しいことをしてはいけない、美味しいものを食べてはいけないと、自分に言い聞かせ息子の供養をする日々でした。体重は一年で6~7キロ減りました。

同じ境遇の方との出会い

 事件のこと、裁判のこと、加害者のこと、憤りや悲しみを抱え生活をしていました。そして、次第に口を閉ざしていきました。そのような時、交通事故被害者がテレビに出演しているのをたまたま見て、「この方に会いたい」と思い手紙を書きました。その方から、県警に犯罪被害者の支援室があることを教えてもらい、県警の犯罪被害者支援担当の方と連絡を取り始めました。とても親切にしてもらい、悩んでいる私を心配して、犯罪被害の支援に理解のある精神科の先生を紹介してくださいました。先生には寄り添っていただき、本当に助けていただきました。
 その先生の紹介で、娘を殺害されたご夫婦に会ったときは、お互い涙を流しながら一晩中語りあいました。初めて、心のうちを分かり合える人に出会えたと実感しました。そのことがきっかけで、平成12年に犯罪被害者家族による「一歩の会」を3人で作りました。「一歩ずつ回復していかないといけないよね」と思いを込めて名前をつけました。
 平成23年には、九州・沖縄の犯罪被害者同士の交流を目的として、20人の犯罪被害者や家族が集まり「みどりの風」を立ち上げました。「みどりの風」では、犯罪被害者が集まり泊りがけの交流会や、犯罪被害についての理解を広めるための講演活動等をしています。当初は約20人だった参加者も、弁護士や医師の方なども参加いただき約70人に増えています。「みなさんに会えてよかった。こういう会があってよかった。自分と同じような体験をした方とつながることができて、一人じゃないというのが分かり、本当によかった」と言われます。私自身、顔を合わせてお互いの近況を話す、それだけで心が落ち着き、一歩を踏み出すことができました。

少年院等での講演

 事件から6年経過した平成16年に、福岡少年院の職員の方から声をかけていただいたのがきっかけで、少年院や刑務所、自治体職員、一般の方を対象に講演をしています。これまでに講演した数は62回にも及びます。息子の加害者とは違うけど、加害者に会ってみたい、どんな人なのだろう、と思ったのが講演を引き受けたきっかけです。今でも覚えているのは、講演後のアンケートで「自分は、傷つけた相手だけに罪の意識があったけれど、家族にまでこんな思いをさせていることに初めて気づきました」と書かれた感想文です。被害者だけではなく、その家族の人生を変えてしまうことに気づいてくれただけでも、話をしてよかったと思いました。

犯罪被害者の置かれている状況

 被害を受けた本人も、家族も本当に多くの理不尽な目にあっています。その後の人生が一瞬で狂ってしまい、今までどおりの生活が送れなくなるのです。働けなくなり仕事をなくす人、事件があった家に住めなくなる人、いろいろです。近所の人をはじめ周りの方との付き合いも変わります。被害を思い出してしまい、恐怖・不安・怒りや自分を責める気持ちが込み上げてきたり、不眠・食欲不振、人と会いたくなくなったり。精神的にも身体的にも、経済的にも苦痛を受けている方が多くいます。
 また、犯罪による被害だけでなく、二次被害を受ける人も沢山います。市役所や警察などの窓口で、事件のことを何度も話さなければいけなかったり、職員の何気ない言葉で傷ついている方がいます。病院で、眠れないと心の相談をしても、ただ薬を処方するだけで被害者の心理を理解してもらえないこともあると聞きます。弁護士の先生に法律の相談をしても、犯罪被害者の相談に携わったことない先生もいて、そこで傷つく被害者もいます。
 「何年もたっているのに」と思われ、周りの方に分かってもらえないことも多くあります。どんなに時間がたっても被害者やその家族が受けた苦しみや悲しみは絶対に癒えません。

少しずつ変わってきた犯罪被害者を取り巻く状況

 私が被害にあった20年前と比べると、社会の犯罪被害者への理解は少しずつ進んできています。刑事裁判に裁判員制度や被害者参加制度が導入され、各県に犯罪被害者の支援センター、自治体や警察に相談窓口ができました。
 しかし、被害者本人が自分で相談窓口を探すのは大変です。多くの人に犯罪被害者の相談窓口や被害者の会があることを知ってもらいたいと思っています。周りの方から相談窓口があるということを教えてもらうことで、支援につながっていくと思います。

犯罪被害に遭われて苦しんでいる方に

 久留米にも犯罪の被害に遭い、色々な思いをし、孤立している方、我慢している方がきっといると思います。
 一人では耐えられない苦しみも、同じ体験をした人となら分かち合える。癒えない悲しみを抱えながら寄り添い合う場があります。
 「みどりの風」では、相談を受けたらまず事務局長が話を聞き、同じような被害に遭われた方につなぎます。会には医師や弁護士の先生もいらっしゃいます。
 もし、同じような思いをしている人に会いたい、話をきいてほしいと思ったら、いつでもご連絡を下さい。

 令和2年10月28日(水曜日)

九州・沖縄犯罪被害者連絡会 みどりの風
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廣瀬さんの写真

犯罪被害に遭われた方の相談窓口

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