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IPCC第6次評価報告書(AR6)統合報告書

更新日:202303301000


第12回 IPCC第6次評価報告書(AR6)統合報告書について

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第58回総会が、2023年3月13日(月)から20日(月)に、スイス・インターラーケンで開催され、IPCC第6次評価報告書(AR6)統合報告書の政策決定者向け要約(SPM)が承認されるとともに、同報告書の本体が採択されました。
これを受けてIPCCは、AR6統合報告書の政策決定者向け要約(SPM)を2023年3月20日に公表しました(環境省2023年3月20日報道発表参照このリンクは別ウィンドウで開きます)。
2016年から始まった「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第6次評価報告書(AR6)サイクルは、第1作業部会(自然科学的根拠)報告書が2021年8月、第2作業部会(影響・適応・脆弱性)報告書が2022年2月、第3作業部会(気候変動の緩和)報告書が2022年4月に順次公表され、2023年3月の統合評価報告書の公表をもって終結しました。
統合評価報告書の公表は、2014年の第5次評価報告書以来9年ぶりとなります。新型コロナ感染症の世界的流行によって当初の予定から報告書の公表は大幅に遅れたものの、各作業部会の報告書は社会からの大きな関心を集め、その影響力の大きさを示しました。

1.5℃目標に向けて

2015年12月に採択されたパリ協定(2020年以降の温室効果ガスの排出削減のための国際枠組)では、「世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2℃より十分下回るものに抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求すること」との目標を掲げました。さらにIPCCが2018年10月に公表した「1.5℃特別報告書」において、現在と1.5℃上昇との間、及び1.5℃と2℃上昇との間には、生じる影響に有意な差があることが示されました。これを受けて、2021年11月の気候変動枠組条約COP26で合意された「グラスゴー合意」では、2030年に向けて野心的な気候変動対策を締約国に求めることとされ、世界平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5℃以内に抑える努力を追求することが決められました。
しかし現在、世界は温暖化を1.5℃以内に抑えられるかどうかの瀬戸際にあります。2015年~2022年は観測史上最も暑い8年でした。国際エネルギー機関(IEA)によると、2022年のCO2排出量は過去最多になっています。

第6次統合報告書の要点

統合報告書の政策決定者向け要約は、「A 現状と傾向」、「B 長期的な気候変動、リスク、及び応答」、「C 短期的な応答」の3項目で構成されています。そのポイントは、以下の通りです。

(参考)「IPCC」とは、Intergovernmental Panel on Climate Changeの略で、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織です。現在195の国と地域が参加しており、世界中の科学者や政府関係者が関わり、研究知見や情報を収集、整理、検討し、気候変動の最新の科学的知見をまとめ提供しています。IPCCの報告書は気候変動分野において科学的に最も権威のある情報源です。「政策に関連するが政策を規定しない(policy-relevant but not policy-prescriptive)」という政策中立性の原則の下、国連気候変動枠組条約(United Nations Framework Convention on Climate Change,UNFCCC)の国際交渉やその他の政策決定の場に有用な科学的助言を提供することで、IPCCは国際的な科学的助言機関としての高い信頼と地位を得ています。
 

藤田 八暉
久留米市環境審議会会長
久留米大学名誉教授

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