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第11回 ZEB、ZEH、建築物省エネ法

更新日:202302280900


第11回 ZEB、ZEH、建築物省エネ法について

2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラルを実現するには、エネルギー消費の約3割を占める建築物分野でのCO2排出量削減の取り組みが非常に重要です。
このことから、住宅・建築物について徹底的な省エネルギーの推進と再生可能エネルギーの活用によるCO2削減が喫緊の課題となっています。
こうした背景から、2021年10月に閣議決定された「地球温暖化対策計画」では、2030年度以降新築される住宅・建築物についてZEB基準の水準の省エネルギー性能が確保されていることを目指し、整合的な誘導水準の引き上げや、省エネルギー基準の段階的な水準の引き上げを遅くとも2030年度までに実施する。住宅・建築物については、2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されていることを目指すとされています。
また、2022年6月に「建築物省エネ法」の改正法が制定され、住宅を含む全ての新築の建築物を対象に、2025年度から断熱性能等の省エネ基準適合を満たすよう義務付けることなどを柱とする改正が行われ、2023年4月から順次施行されます。

ZEB(ゼブ)とは

ZEBは、Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)の略称で、通称は「ゼブ」と言われています。快適な室内環境を実現しながら、建物の高断熱化や設備の高効率化による「省エネ」と、太陽光発電等の「創エネ」により、エネルギーを自給自足し、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことを言います。
省エネの削減量と創エネの比率に応じて、『ZEB』、Nearly ZEB(ニアリーゼブ)、ZEB Ready(ゼブレディ)、及びZEB Oriented(ゼブオリエンテッド)のカテゴリに分けられます。
省エネ対策により省エネ基準から50%以上の一次エネルギー消費量を削減したうえで、再生可能エネルギー等の導入により、

  1. 『ZEB』
    100%以上の一次エネルギー消費量削減を満たす建築物
  2. Nearly ZEB
    75%以上100%未満の一次エネルギー消費量削減を満たす建築物
  3. ZEB Ready
    再生可能エネルギー等を除き、50%以上の一次エネルギー消費量削減を満たす建築物
  4. ZEB Oriented
    延床面積が1万平方メートル以上の建築物のうち、事務所や工場、学校などで40%以上の一次エネルギー消費量を削減、ホテル、病院、百貨店、集会所などで30%以上の削減をし、かつ、省エネ効果が期待されている技術であるものの建築物省エネ法に基づく省エネ計算プログラムにおいて現時点で評価されていない技術を導入している建築物

と定義されています。

ZEH(ゼッチ)とは

ZEHは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略称で、通称は「ゼッチ」と言われています。
省エネの削減量と創エネの比率に応じて、『ZEH』、Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)、ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)の3つのカテゴリに分けられます。
省エネ対策により省エネ基準から20%以上の一次エネルギー消費量を削減したうえで、再生可能エネルギー等の導入により、

  1. 『ZEH』
    100%以上の一次エネルギー消費量削減を満たす住宅
  2. Nearly ZEH75%以上100%未満の一次エネルギー消費量削減を満たす住宅
  3. ZEH Oriented
    再生可能エネルギー等を除き、20%以上の一次エネルギー消費量削減を満たす住宅

と定義されています。

ZEB化の促進

「ZEB(ゼブ)」、「ZEH(ゼッチ)」の両方とも建物に発電設備を導入して発電量を増やす方法と、省エネを進めてエネルギー消費量を減らす方法が上げられています。
国際エネルギー機関(IEA)が、ZEBへの取組加速を勧告し、日本でも新築公共建築物の2030年までのZEB化を加速しています。
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、国土交通省・経済産業省・環境省の連携により「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策のあり方検討会このリンクは別ウィンドウで開きます」が、内閣官房に「国・地方脱炭素実現会議このリンクは別ウィンドウで開きます」が設置され、それぞれにおいて住宅・建築物における脱炭素社会の方向性、地域主体による公共建築のZEB化の促進等について議論が行われ、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方PDFファイル(154キロバイト)このリンクは別ウィンドウで開きます」、「地域脱炭素ロードマップPDFファイル(4964キロバイト)このリンクは別ウィンドウで開きます」としてとりまとめられました。
これを受けて、地球温暖化対策推進法や建築物省エネ法の改正などが行われ、ZEB化の取り組みを強化して促進していくと共に、既築の住宅・建築物の省エネ改修や太陽光発電設備の設置などの強化の取り組みが進められています。

建築物省エネ法

「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」(平成27年法律第53号)は、2015年7月に公布され、建築物のエネルギー消費性能の向上を図るため、住宅以外の一定規模以上の建築物のエネルギー消費性能基準への適合義務の創設、エネルギー消費性能向上計画の認定制度の創設等の措置が規定されています。
2022年6月の建築物省エネ法の改正で、全ての住宅・建築物について2025年度までに省エネ基準適合を義務付けし、2030年度以降の新築のZEH・ZEB水準の省エネ性能の底上げや既築の住宅・建築物のより高い省エネ性能への誘導のため、誘導基準を強化するなどの規制措置が講じられました。あわせて、省エネ性能の高い住宅・建築物の新築や省エネ改修に対する支援措置の強化が図られています。
同改正法は、2023年4月1日から施行されますが、原則全ての新築住宅・非住宅への省エネ基準適合の義務付け等のその他の改正については、公布の日(2022年6月17日)から2年又は3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされています(国土交通省「建築物省エネ法についてこのリンクは別ウィンドウで開きます」参照)。

藤田 八暉
久留米市環境審議会会長
久留米大学名誉教授

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