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第10回 カーボンプライシング

更新日:202301301600


第10回 カーボンプライシングについて

政府は2050年に国内の二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の達成を目指して、産業革命以来の化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させるグリーントランスフォーメーション(GX)を実行するべく、2022年7月に「GX実行会議(議長・岸田文雄首相)」を設置し、必要な施策を検討して来ました。
2022年12月22日に、第5回「GX実行会議」を開催し、「GX実現に向けた基本方針-今後10年を見据えたロードマップ-」をとりまとめました。2023年1月22日まで意見募集が実施され、今後、閣議決定を目指すとともに、通常国会に関連法案を提出することとしています。
基本方針では、「エネルギー安定供給の確保を大前提としたGXに向けた脱炭素の取組」、「成長志向型カーボンプライシング構想の実現・実行」などについて、基本的な考え方と今後の具体的な対応などを提示しています。
環境省は、2023年1月24日に「2030年目標、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた成長志向型カーボンプライシング構想についてこのリンクは別ウィンドウで開きます」を取りまとめています。
カーボンプライシングは、世界では珍しい制度ではなくなりましたが、日本でもようやく、成長志向型カーボンプライシングが実現・実行されることになります。

カーボンプライシング(CP)とは

カーボンプライシング(CP)とは、その名の通りカーボン(二酸化炭素:CO2)をプライシング(価格を付ける)することです。排出されたCO2量に応じて、企業などに金銭的負担を求めます。
CO2排出量に金銭的負担という明確な基準を加えるカーボンプライシングの果たす役割は大きいと言えます。
カーボンプライシングによって、これまで義務付けがなかったCO2の削減目標に強制力を持たせることができます。

カーボンプライシング導入状況

フィンランドが世界で初めて炭素税を導入し、その後EU加盟国を中心に広がりました。日本においては、地球温暖化対策のための税(以下「地球温暖化対策税」という)の導入などカーボンプライシングの取り組みがあるもののまだ十分ではありません。
世界銀行(World Bank)の調査によれば、2022年4月現在、68か国でカーボンプライシング制度が運用されています(炭素税36件、排出量取引制度32件)。これらの制度で世界全体の温室効果ガス排出量の約23%をカバーしています(CO2換算)。

カーボンプライシングの制度

カーボンプライシングのための仕組みには、炭素税と排出量取引制度などがあります。それぞれの制度について内容と問題点、日本での導入状況は次のようです。

GX実行会議のカーボンプライシングの基本方針

脱炭素社会に向けた戦略を話し合う「GX実行会議」で、「カーボンプライシング」の基本方針が示され、海外と比べて後れをとっていたカーボンプライシング導入がようやく始まりますが、カーボンプライシングの本格導入を「2030年以降」とし、経済への悪影響を考慮して、はじめは負担額を低く抑え、段階的に引き上げるとしています。このペースだと「2030年度に2013年度比46%排出削減」の目標の達成に貢献出来るのかが問われそうです。
カーボンニュートラルの達成にはカーボンプライシングの本格的な導入が不可欠と考えます。

藤田 八暉
久留米市環境審議会会長
久留米大学名誉教授

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