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第9回 生物多様性に関する「30by30」目標とOECM

更新日:202212271500


第9回 生物多様性に関する「30by30」目標とOECMについて

生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)が、2022年12月7日から同年12月19日にかけて、カナダ・モントリオールにおいて開催され、2010年のCOP10で採択された愛知目標の後継となる新たな生物多様性に関する世界目標(ポスト2020生物多様性枠組)である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択されました。
同枠組は、2030年までの生物多様性に関する世界目標であり、2050年ゴール(2050年に向けた4つの長期のゴール)及び2030年ターゲット(2030年までの10年間の緊急の行動のための23のターゲット)と、新枠組みの進捗をモニタリング・評価する仕組みなどが主な内容です。
2030年ターゲットのうち、2030年までに陸域と海域のそれぞれ少なくとも30%以上を保全する「30by30」目標が主要な柱の一つです。

「30by30」目標とは

30by30(サーティ・バイ・サーティ)目標とは、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、回復させる(ネイチャーポジティブ)というゴールに向け、2030年までに陸域と海域のそれぞれ30%以上を健全な生態系として効果的に保全及び管理しようとする目標です。
2021年6月に英国で開催されたG7サミットにおいて、2030年までに生物多様性の損失を食い止め、反転させるという目標達成に向け、G7各国が自国の少なくとも同じ割合を保全・保護することについて約束しました。
これを受けて、環境省では同年8月に30by30目標の国内達成に向けた基本コンセプトを公表し、このための行程と具体策を示すロードマップを2022年4月に公表しました。本ロードマップでは、30by30目標達成のための主要施策として、国立公園等の保護地域の拡張と管理の質の向上や、保護地域以外で生物多様性保全に資する地域(OECM)の設定・管理、生物多様性の重要性や保全活動の効果の「見える化」等を掲げています。また、主要施策を支え推進する横断的取組として30by30アライアンス等を盛り込んでいます。

OECMとは

OECM(Other Effective area-based Conservation Measures)とは、民間等の取組により保全が図られている地域や、保全を主目的としない管理が結果として自然環境を守ることにも貢献している地域を指します。
OECMは新しい概念ではなく、愛知目標の中にすでに盛り込まれていました。OECMの定義が正式に採択されたのは、2018年に開催されたCOP14においてで、OECMとは「保護地域以外の地理的に画定された地域で、付随する生態系の機能とサービス、適切な場合、文化的・精神的・社会経済的・その他地域関連の価値と共に、生物多様性の域内保全にとって肯定的な長期の成果を継続的に達成する方法で統治・管理されているもの」(環境省仮訳)とされています。
わが国の「自然環境保全法」に基づく「自然環境保全基本方針」では、2020年3月の更新時にOECMが保全対象地域として追加されました。「自然環境保全基本方針」では「民間等の取組により保全が図られている地域や保全を目的としない管理が結果として自然環境を守ることにも貢献している地域」と定義され、「民間等の取組を促進すると共に、保護地域を核として連結性を強化することにより、広域的で強靭な生態系のネットワーク化を図り、生物多様性の保全を推進する」とする保全方針が示されています。
30by30ロードマップの公表と同日(2022年4月8日)に発足した30by30アライアンスでは、参加者は自らの所有地・所管地内のOECM登録や保護地域の拡大などを目指すことに加えて、自ら土地を所有または管理していなくても、他のエリアの管理を支援、あるいは地方公共団体が自ら策定する戦略に30by30目標への貢献を盛り込むことなどを通じて、30by30目標実現に向けて取り組んでいくことになります。

藤田 八暉
久留米市環境審議会会長
久留米大学名誉教授

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