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第6回 サーキュラーエコノミー・循環経済

更新日:202210071134


第6回 サーキュラーエコノミー・循環経済について

近年、カーボンニュートラル(脱炭素社会)の実現やライフサイクル全般での資源循環に関する取り組み等が急速に進展しています。
環境問題への配慮が不十分な時代は、大量生産・大量消費・大量廃棄型の経済活動が行われていました。大量生産・大量消費型の経済社会活動は、大量廃棄型の社会を形成し、健全な物質循環を阻害するほか、気候変動問題、天然資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の破壊など様々な環境問題にも密接に関係しています。
このことから、これまでの経済活動の中では廃棄されてきたような製品や原材料などを資源として捉えて活用し、持続可能な状態で循環させる考え方が主流になっています。それが「サーキュラーエコノミー(循環経済)」と言われています。
このサーキュラーエコノミーという用語は、EUが2015年12月に政策パッケージを公表したことで世界的に広まった概念で、和訳して「循環経済」と呼びます。
SDGsや環境問題に関するニュースの際などに耳にする機会が増えて来ました。
今回は、このサーキュラーエコノミー・循環経済の意味を分かり易く解説し、サーキュラーエコノミー・循環経済に向けた動向を紹介します。

サーキュラーエコノミー・循環経済の意味

サーキュラーエコノミー(Circular Economy)・循環経済は、従来の「リデュース・リユース・リサイクル(3R)」の取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものです。
このサーキュラーエコノミー・循環経済に対して、従来の大量生産・大量消費型の経済システムでは、地球の資源を採って物を作り、使い、最終的に廃棄するという一方向のみの流れで直線的でしたのでリニアエコノミー(Linear Economy)と呼んでいます。
この廃棄を前提としているリニアエコノミーと異なり、サーキュラーエコノミーは最初から廃棄物を発生させないという考えが軸になっています。
サーキュラーエコノミー
出典:令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書(環境省)

サーキュラーエコノミーの3原則とは

イギリスに本拠を置く国際的なサーキュラーエコノミー推進機関として有名なエレン・マッカーサー財団は、サーキュラーエコノミーの3原則として、次を掲げています。

  1. 自然のシステムを再生する(Regenerate natural systems)
    有限な資源は可能な限りストックし、使いすぎないように制御していく。再生可能な資源フローを構築していくことで、自然資本を増加させていく。
  2. 製品と原料材を使い続ける(Keep products and materials in use)
    「廃棄前提」の考え方から脱却していく。素材を最大限利用可能な範囲で循環させることで、資源からの生産を最適化する。
  3. ごみ・汚染を出さない設計を行う(Design out waste and pollution)
    大量生産・大量消費・大量廃棄という考え方を排除する設計にすることによって、システムの効率性を高めていく。

中央環境審議会循環型社会部会報告書「2050年の循環型社会に向けて」

先頃、令和4年9月に中央環境審議会循環型社会部会は、「2050年の循環型社会に向けてPDFファイル(8585キロバイト)このリンクは別ウィンドウで開きます」と題する報告書を公表し、サーキュラーエコノミーへの移行を加速するため、2050年を見据えて目指すべき循環経済の方向性と2030年に向けた施策の方向性を、循環経済工程表として取りまとめています。その中で、次のように述べられています。

  1. 温室効果ガスについて、我が国全体における全排出量のうち資源循環が貢献できる割合としては約36%という試算もあり、2050年カーボンニュートラルの実現に向けても3R(廃棄物等の発生抑制・循環資源の再使用・再生利用)+Renewable(バイオマス化・再生材利用等)をはじめとする循環経済への移行を進めていく必要がある。
  2. 海洋プラスチックごみによる汚染や生物多様性の損失等の地球規模での環境汚染に対処する観点からも、循環経済の取り組みを通じた天然資源投入量・消費量の抑制や適正な資源循環の促進による全体的な環境負荷削減への貢献を考えていくことが必要である。
  3. 経済的側面からは、循環産業をはじめとする循環経済関連ビジネスを成長のエンジンとしながら、循環経済を持続的な取り組みとし、主流化していくことが不可欠の要素となる。政府としては、2030年までに、循環経済関連ビジネスの市場規模を、現在の約50兆円から80兆円以上にすることを目指すという目標(2021年6月成長戦略フォローアップ工程表PDFファイル(2310キロバイト)このリンクは別ウィンドウで開きます)を掲げている。

まとめ

サーキュラーエコノミー・循環経済への移行がなぜ必要なのか。それは、現在のリニアエコノミーは環境・社会の両面から考えて持続可能な経済モデルではないことが明らかになってきているためです。
これからは、製品を生産する段階から消費者が利用・廃棄する段階で終わるのではなく、廃棄されていた製品や原材料などを資源と捉えてメンテナンス、リユース、リサイクルに至る全体のサイクルが循環的に行われるように取り組むサーキュラーエコノミー・循環経済が基本となります。
また、サーキュラーエコノミー・循環経済への移行は、企業の事業活動の持続可能性を高めるため、ポストコロナ時代における新たな競争力の源泉となる可能性を秘めており、現に新たなビジネスモデルの台頭が国内外で進んでいます。サーキュラーエコノミー・循環経済を競争力の源泉とし、限りある資源の効率的な利用等により世界で約500兆円の経済効果があると言われている成長市場(出典:Accenture Strategy 2015)の獲得を目指すことになります。

藤田 八暉
久留米市環境審議会会長
久留米大学名誉教授

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