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第5回 再生可能エネルギー

更新日:202208301600


第5回 再生可能エネルギーについて

地球環境を保全するため、世界が一丸となって温室効果ガスを排出しない「脱炭素社会」を目指しています。その取り組みを進める中で重要になるのが、最近よく耳にする「再生可能エネルギー(Renewable Energy)」です。再生可能エネルギーは、太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった、自然由来で二酸化炭素(CO2)を排出せずに活用できるエネルギーで、今後の脱炭素社会・カーボンニュートラルの実現に向けて、政府は最優先の原則で導入を進めています。
今回は、再生可能エネルギーとは何かといった基礎知識から、再生可能エネルギーの種類と特徴、日本と世界の再生可能エネルギーに対する取り組みや現状などについて解説します。

再生可能エネルギーとは何か

再生可能エネルギーとは、石油や石炭といった有限な資源である化石エネルギーとは違い、「二酸化炭素を排出しないこと」「枯渇しないものであること」という特徴を持つ自然界にあるエネルギーのことです。太陽光や風力、地熱といった二酸化炭素を排出しないエコなエネルギーとして知られるものがそれに当たります。

再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギーの種類については、「エネルギー供給構造高度化法施行令」(平成21年8月施行)において、(1)太陽光、(2)風力、(3)水力、(4)地熱、(5)太陽熱、(6)大気中の熱その他の自然界に存在する熱、(7)バイオマス(動植物に由来する有機物)の7種類と規定されています。利用の形態は、電気、熱、燃料製品です。
また、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(平成24年7月施行、令和4年4月から「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」に改正)では、上記の中から特に発電分野において安定的なエネルギーの供給、環境負荷低減の目的から導入促進を図るべきものとして、(1)太陽光発電、(2)風力発電、(3)水力発電(出力3万キロワット未満)、(4)地熱発電、(5)バイオマス発電(木質系、一般廃棄物系)の5種類を買取りの対象としています。
なお、以前はよく見聞きされた用語である「新エネルギー」は、再生可能エネルギーのうち、「新エネルギー利用促進法」で特に普及を推進しているエネルギーのことですので、新エネルギーは再生可能エネルギーの中に含まれる位置づけになります。

再生可能エネルギーの特徴

再生可能エネルギーは「自然界のどこにでも存在しているもの」であり、「二酸化炭素を排出しない」「枯渇しない」という特徴があります。どこにでも存在しているため、海外からの輸入に頼る化石エネルギーとは異なり、国内で生産することができます。
再生可能エネルギーのメリットは、二酸化炭素を排出しないことや、国内生産によってエネルギーの自給率が上がることなどが挙げられます。また、再生可能エネルギーは分散型電源であることから特に地域に多くの雇用が創出され、地域の活性化や非常時のエネルギー確保等のローカルなものまで、非常に多岐にわたります。
自然を活かした再生可能エネルギーは、社会を維持し発展させていくために、重要な電源です。

日本の再生可能エネルギーの現状と取り組み

日本が2050年にカーボンニュートラルを実現するためには、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーの電源構成に占める割合を2030年度には36%以上にする必要がありますが、2019年度の時点で18%となっています。
2019年度時点での世界各国の再生可能エネルギーの割合を見てみると、カナダ:66.3%、イタリア:39.7%、スペイン:38.2%、ドイツ:35.3%、イギリス:33.5%、中国:25.5%であり、我が国はかなり低い水準にあります。太陽光発電については世界でも設備数が多い日本ですが、この数値を見るとまだまだ遅れています。

世界の再生可能エネルギーの導入状況

世界各国における再生可能エネルギー発電設備は年々増加しています。国際エネルギー機関(IEA)によれば、世界の再生可能エネルギー発電設備の容量(ストック)は2015年に約2,000ギガワット程度まで増加し、最も容量の大きい電源となりました。その後も、引き続き再生可能エネルギー発電設備の容量は増加しています。IEAは「再生可能エネルギー市場報告」を2022年5月に発表しましたが、それによると、世界全体の再生可能エネルギー発電設備の、2022年の新規導入容量(ネット)は319.0ギガワットで、過去最大となった2021年の294.2ギガワットから8.4%増加し、年間の新規導入容量として、初めて300ギガワットを超える見通しです。1ギガワットが原発1基分ですから、年々かなりの発電量が再生可能エネルギーへと置きかわっていることがわかります。

国際再生可能エネルギー機関

国際再生可能エネルギー機関(IRENA)は、再生可能エネルギー(太陽、風力、バイオマス、地熱、水力、海洋利用等)の普及及び持続可能な利用の促進を目的として設立された国際機関で、2011年4月に正式に設立されました。主な活動は、再生可能エネルギー利用の分析・把握・体系化、政策上の助言の提供、加盟国の能力開発支援等です。
国際再生可能エネルギー機関は、パリ協定の目標達成には、世界の電源構成の約4分の1を占める再生可能エネルギー比率を2050年に86%へ引き上げる必要があると提言しています。

まとめ

2015年に採択されたパリ協定によって、世界各国が脱炭素化へと舵を切りました。カーボンニュートラル実現に向けて世界が動く今、脱炭素化を進める上で、地球温暖化の原因となっている化石燃料から脱却し、再生可能エネルギーを活用することはどの国にとっても重要であり、産油国でも再生可能エネルギーの活用へと動いています。新しいエネルギーの活用は世界にさまざまな影響を与え、新しい産業が生まれる中で経済も大きく動いていくことでしょう。
カーボンニュートラルや再生可能エネルギーは大企業でなくても今後考えていかなければいけない問題であり、海外進出を考える上で各国の取り組みや現状を知ることも今後の世界情勢を考える上で重要となってきます。
太陽光・風力・地熱・中小水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー自給率の改善、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な国産エネルギー源です。
他方で、地域の特性に応じて地域の主体が普及を推進できる再生可能エネルギーは、地域が主導的にエネルギーの政策や地域づくりの一環として進めることが可能であり、その意義は極めて大きいです。

藤田 八暉
久留米市環境審議会会長
久留米大学名誉教授

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