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第7回 我が国の地球温暖化対策 (2)地球温暖化対策計画と長期戦略の策定について

更新日:202111011000


第7回 我が国の地球温暖化対策について

地球温暖化対策計画PDFファイル(7260キロバイト)このリンクは別ウィンドウで開きます」が2021年10月22日に閣議決定されました。地球温暖化対策計画は、地球温暖化対策推進法に基づく政府の総合計画で、2016年5月13日に閣議決定した前回の計画が5年ぶりに改定されました。
我が国は、2021年4月に、2030年度において、温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すこと、さらに50%の高みに向けて挑戦を続けることを表明しました。詳しくは、第4回 我が国の地球温暖化対策(1)地球温暖化対策推進法に解説しましたので、ご覧ください。
改定された地球温暖化対策計画は、この新たな削減目標も踏まえて策定したもので、二酸化炭素以外も含む温室効果ガスの全てを網羅し、新たな2030年度目標の裏付けとなる対策・施策を記載して新目標実現への道筋を描いています。現計画とは大きく異なり政策包括的な厳しい内容が盛り込まれています。
合わせて同日、「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略PDFファイル(5546キロバイト)このリンクは別ウィンドウで開きます」が閣議決定され、また、「日本のNDC(国が決定する貢献)PDFファイル(54キロバイト)このリンクは別ウィンドウで開きます(注意)」が地球温暖化対策推進本部において決定されました。
注意:パリ協定(2015年12月採択、2016年11月発効)では、全ての国が温室効果ガスの排出削減目標を「国が決定する貢献(NDC: Nationally Determined Contribution)」として5年毎に提出・更新する義務があります。

1 地球温暖化対策計画の改定の背景

気候変動問題は、私たち一人ひとりこの地球に生きる全ての生き物にとって避けることができない、喫緊の課題です。既に世界的にも平均気温の上昇、雪氷の融解、海面水位の上昇が観測されています。我が国においても平均気温の上昇、大雨、台風等による被害、農作物や生態系への影響等が観測されています。地球温暖化の進行に伴い、今後、豪雨や猛暑のリスクが更に高まることが予測されています。また、気候変動は全ての大陸と海洋にわたって、自然及び人間社会に影響を与えており、温室効果ガスの継続的な排出により、人々や生態系にとって深刻で広範囲にわたる不可逆的な影響を生じる可能性が高まると言われています。
気象災害の激甚化に対する危機感の高まりなどを背景に「2050年までの二酸化炭素排出量実質ゼロ」を目指す地方公共団体、いわゆるゼロカーボンシティは、2019年9月時点ではわずか4地方公共団体であったものが、2021年9月末時点においては464地方公共団体と加速度的に増加しています。なお、表明した地方公共団体の人口を、都道府県と市町村の重複を除外して合計すると、1億1000万人を超えています。
企業や金融機関においても、パリ協定を契機に、ESG金融の動きなどとあいまって、脱炭素化を企業経営に取り込む動き(脱炭素経営)が世界的に進展しています。また、脱炭素化を目指し、グローバルにサプライチェーンの取引先を選別する動きも加速しています。自然災害による被害の激甚化など、気候変動問題が企業の持続可能性を脅かすリスクになりつつある中、脱炭素化によって、リスクを回避するとともに機会の獲得を目指す動きが企業経営の潮流となっています。
持続可能な開発目標(SDGs)達成をはじめとした地球規模課題への対応として、様々な社会変革を進めていく必要がある中で、特に、温室効果ガス排出量を実質ゼロとし、世界のカーボンニュートラルへの貢献を図ることが顕在化してきています。
地球温暖化対策推進法第1条において規定されているとおり、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準で大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ、地球温暖化を防止することは人類共通の課題です。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて気候変動対策を着実に推進していくことが最重要課題です。
2021年6月11日から13日にかけてイギリス・コーンウォールにて開催されたG7 コーンウォール・サミットでは、遅くとも2050年までにネット・ゼロ目標を達成するための努力にコミットし、各国がその目標に沿って引き上げた2030年目標にコミットすることを確認しました。

2 改定された地球温暖化対策計画の要点

地球温暖化対策計画は、「2050年カーボンニュートラル」と、我が国の中期目標として、2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向け挑戦を続けていく等の実現に向け改定されました。

第一項 我が国の地球温暖化対策の目指す方向
我が国は、積極的に地球温暖化対策を行うことで、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち、「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指すため、「改正地球温暖化対策推進法」で、2050年カーボンニュートラルを基本理念として法定化しました。これにより、中期目標の達成にとどまらず、脱炭素社会の実現に向け、政策の継続性・予見性を高め、脱炭素に向けた取組・投資やイノベーションを加速させることとしています。その上で、2050年目標と整合的で野心的な目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けていくため、2030年度の野心的な目標に向けて、徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの最大限の導入、公共部門や地域の脱炭素化など、あらゆる分野で、でき得る限りの取組を進めるとしています。

第二項 温室効果ガスの排出削減・吸収の量に関する目標
(ア)我が国の温室効果ガス削減目標
我が国の中期目標として、2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46% 削減することを目指す。さらに、50%の高みに向け、挑戦を続けていくとしています。
(イ)温室効果ガス別その他の区分ごとの目標
2030年度における温室効果ガス別の目標や部門別の目標を、表1のように設定しています。

表1 温室効果ガス別その他の区分ごとの目標

温室効果ガス排出量・吸収量(単位:億トン-CO2)

2013排出実績 2030排出量 削減率 従来目標
14.08 7.60 -46% -26%
内訳 エネルギー起源CO2 12.35 6.77 -45% -25%
エネルギー起源CO2の内訳 部門別 産業 4.63 2.89 -38% -7%
業務その他 2.38 1.16 -51% -40%
家庭 2.08 0.70 -66% -39%
運輸 2.24 1.46 -35% -27%
エネルギー転換 1.06 0.56 -47% -27%
非エネルギー起源CO2、メタン、N2O 1.34 1.15 -14% -8%
HFC等4ガス(フロン類) 0.39 0.22 -44% -25%
温室効果ガス吸収源 - -0.48 - (-0.37億トン-CO2)

(注意)エネルギー起源CO2の各部門は目安の値。

排出削減の対象となる「温室効果ガス」は、二酸化炭素(CO2)以外に、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、代替フロンなど4ガス(ハイドロフルオロカーボン:HFCs、パーフルオロカーボン:PFCs、六フッ化硫黄:SF6、及び三フッ化窒素:NF3)です。
温室効果ガス別に以下のとおり2030年度における排出削減に関する目標を設定しています。

  1. エネルギー起源二酸化炭素
    我が国の温室効果ガス排出量の8割以上を占めるエネルギー起源二酸化炭素については、産業部門、業務その他部門、家庭部門、運輸部門及びエネルギー転換部門の5部門に分け、これらの各部門における将来の排出量の目標(目安)を示しています。
    エネルギー起源二酸化炭素については、2030年度において、2013年度比45%減の水準(約677百万t-CO2)にすることを目標としています。
  2. 非エネルギー起源二酸化炭素
    非エネルギー起源二酸化炭素については、2030年度において、2013年度比15%減の水準(約70百万t-CO2)にすることを目標としています。
  3. メタン
    メタンについては、2030年度において、2013年度比11%減の水準(約26.7百万t-CO2)にすることを目標としています。
  4. 一酸化二窒素
    一酸化二窒素については、2030年度において、2013年度比17%減の水準(約17.8百万t-CO2)にすることを目標としています。
  5. 代替フロン等4ガス
    代替フロン等4ガス(HFCs、PFCs、SF6、NF3)については、2030年度において、2013年度比44%減の水準(約21.8百万t-CO2)にすることを目標としています。
  6. 温室効果ガス吸収源
    森林吸収源については、2030年度において、約38百万t-CO2の吸収量の確保を目標としています。加えて、2030年度において、農地土壌炭素吸収源対策及び都市緑化等の推進により約9.7百万t-CO2の吸収量の確保を目標としています。

(ウ)計画期間
計画期間は、本計画の閣議決定日(令和3年10月22日)から2030年度末までとしています。

第三項 目標達成のための対策・施策
温室効果ガスの削減目標を達成するための対策・施策のメニューと削減見込み量が提示されており、温室効果ガスの排出削減に関する対策・施策の主な項目を挙げると、次のとおりです。

  1. 徹底した省エネルギーの取組の促進
  2. 再生可能エネルギーの最大限の導入
  3. 電力分野のCO2排出原単位の低減
  4. 技術開発の一層の加速化や社会実装
  5. 脱炭素型ライフスタイルへの転換

具体的な排出削減の対策・施策として、新築される建築物のZEB(ネット・ゼロ・エネルギー)基準導入、物流の脱炭素化、冷凍空調機器からのフロン類の回収・適正処理などが盛り込まれています。自動車に関しては、2035年までに乗用車新車販売に占める電動車(EV、FCV、PHEV、HV)の割合100%を目指すことが明記されています。製品のライフサイクル全体での温室効果ガス排出量を包装や電子レシートなどで「見える化」するなど、消費者が企業の脱炭素化を後押しする環境も整備するとしています。
温室効果ガス吸収源の確保に関する対策・施策としては、健全な森林の整備や農地による炭素貯留、自然生態系による炭素吸収・蓄積という「生態系サービス」の長期的な発揮を含む自然共生社会への移行などが盛り込まれています。
地球温暖化対策計画に位置付ける主な対策・施策は、表2のとおりです。

表2 地球温暖化対策計画に位置付ける主な対策・施策
再エネ・省エネ
  • 改正温対法に基づき自治体が促進区域を設定(地域に裨益する再エネ拡大(太陽光等))
  • 住宅や建築物の省エネ基準への適合義務付け拡大
産業・運輸など 
  • 2050年に向けたイノベーション支援(2兆円基金により、水素・蓄電池など重点分野の研究開発及び社会実装を支援)
  • データセンターの30%以上省エネに向けた研究開発・実証支援
分野横断的取組
  • 2030年度までに100以上の「脱炭素先行地域」を創出(地域脱炭素ロードマップ)
  • 優れた脱炭素技術等を活用した、途上国等での排出削減(「二国間クレジット制度:JCM」により地球規模での削減に貢献)

3 パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略

「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」(以下「本戦略」という。)は、我が国政府が、パリ協定の規定に基づく長期低排出発展戦略として策定するものです。本戦略は、2050年カーボンニュートラルに向けた基本的考え方、ビジョン等を示しています。

第一項 本戦略の策定の趣旨・目的
気候変動問題という喫緊の課題に対して、世界全体で今世紀後半の温室効果ガスの排出と吸収の均衡に向けた取組が加速する中で、パリ協定及び関連する決定においては、温室効果ガスの低排出型の発展のための長期的な戦略を策定、通報することが招請されています。
本戦略では、2050年カーボンニュートラル実現に向けた「あるべき姿」としての長期的なビジョンを分野別に示しています。これらにより、全てのステークホルダーがその実現に向けた可能性を追求するための方向性を共有するとともに、政策の方向性も併せて示すことにより、どこにイノベーションが必要かを示し、企業の研究開発・投資を促すものです。さらに、このビジョンを掲げることにより、今後の気候変動分野における枠組み・スタンダード作りを含めた国際的議論をリードしていくことを目的としています。

第二項 我が国の長期的なビジョン
我が国は、2050年目標と整合的で野心的な目標として、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指し、さらに、50%の高みに向けて挑戦を続けていくこととしています。2030年に向けて今後取り組む様々な施策、技術開発等は、全て2050年カーボンニュートラルに連なるものとなります。2030年に向けては、既存の技術を最大限活用し、この野心的な目標の実現を目指し、その上で、2050年カーボンニュートラルに向けては、2030年度の目標に向けた取組を更に拡大・深化させつつ、現時点では社会実装されていない脱炭素技術について、これを開発・普及させていくこととなります。一方で、2050年を見据えた様々な技術開発・イノベーションの成否を現時点で正確に予測することは困難であり、2050年に向けては、カーボンニュートラルという野心的な目標を掲げつつ、常に最新の情報に基づき施策、技術開発等の重点を決めていくことが求められます。2030年度の新たな削減目標や2050年カーボンニュートラルという野心的な目標の実現を目指し、あらゆる可能性を排除せず、使える技術は全て使うとの発想に立つことが重要です。

第三項 各部門の長期的なビジョンとそれに向けた対策・施策の方向性
各部門のビジョンと対策・施策の方向性について、要点を列挙すると表3のとおりです。

表3 各部門のビジョンと対策・施策の方向性
エネルギー
  • 再エネ最優先原則
  • 徹底した省エネ
  • 電源の脱炭素化/可能なものは電化
  • 水素、アンモニアなどあらゆる選択肢を追求
産業
  • 徹底した省エネ
  • 熱や製造プロセスの脱炭素化
運輸 
  • 2035年乗用車新車は電動車100%
  • 電動車と社会システムの連携・融合
地域・くらし 
  • 地域課題の解決・強靱で活力ある社会
  • 地域脱炭素に向け家庭は脱炭素エネルギーを作って消費
吸収源対策
  • 森林吸収源対策等の活用

 おわりに

政府は、温室効果ガスの削減目標とその道筋について、2030年に向けた「日本のNDC(国が決定する貢献)」と、2050年に向けた「長期戦略」を国連に提出し、本年10月31日からイギリスのグラスゴーで開催される国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)に臨むことにしています。
COP26では、各国が提出した目標を取りまとめて将来の温室効果ガス排出の見通しが示され、これをもとに気候変動対策の国際交渉が行われることになっていて、世界が一致して効果的な対策を打ち出せるのか注目されています。
国連のグテーレス事務総長は、COP26が開催されるのを前に、オンラインで記者会見を開きました。この中で「各国のリーダーたちはCOP26に向けた準備を進めているが、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えるという目標から私たちはまだ程遠い。今すぐ具体的な行動が必要だ」と訴えました。そして、日本の気候変動対策について問うと「日本は排出削減の対策がとられていない石炭火力発電の輸出や新規の建設をやめると聞いている。さらに2050年までに国内の温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることも表明していて、積極的なことと捉えている」と述べました。そのうえで「いくつもの重要な約束をしてきたが、まだわれわれがお願いしてきたレベルにはまだ達していない。今掲げている目標についても達成に向けた具体的で信ぴょう性のある行動計画を明らかにしてほしい」と述べ、日本に対し一層の対策強化を求めました。

藤田 八暉
久留米市環境審議会会長
久留米大学名誉教授

(参考)温室効果ガスの部門別(産業・民生・運輸等)の対策・施策の詳細については、別添資料PDFファイル(254キロバイト)このリンクは別ウィンドウで開きますをご覧ください。

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