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更新日:2025年09月03日 12時00分
皆様、おはようございます。
令和7年第3回市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様におかれましては、ご参集を賜り、誠にありがとうございます。
本日、ここに提案いたしております各議案の提案理由をご説明申し上げますが、はじめに、8月の大雨とその対応について述べさせていただきます。
8月6日から12日にかけて前線の活動が活発化し、各地で線状降水帯が発生して大雨となり、甚大な被害をもたらしました。まずもって、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
久留米市においても、10日夕方に猛烈な雨が降り記録的短時間大雨情報が出され、その後、土砂災害にかかる大雨警報が発表されました。それを受け、土砂災害警戒区域がある校区に避難情報の発令を行いましたが、幸い、大きな被害の発生には至らなかったところです。
今回の大雨に際しては、浸水対策として整備した御幣島公園雨水貯留施設や旗崎池調整池、金丸5号雨水幹線などの施設が稼働しました。
また、その前日の9日には雨で順延していた「みんなで流域治水!」を市民や企業、団体の皆さんとの協働により実施し、市内4つのエリアで排水路の浚渫や除草作業、土のう作りを行いました。
今年度の「みんなで流域治水!」は、中学生や高校生、消防団の皆さんにも参加いただいて梅雨前の5月から取組を進め、全体で1,700人を超える方々に参加いただきました。ご参加・ご協力いただいた皆様方に感謝申し上げます。
こうした施設の稼働や協働の取組により、今回の大雨での浸水の軽減が図られており、ハード・ソフト両面からの取組の成果が目に見える形で現れてきています。
7月の要望活動で国土交通省に伺った際には、「久留米市の治水対策は全国のモデルとなる取組であり、PRしていきたい」との言葉をいただきました。気候変動の影響により全国いたるところで豪雨災害が発生する可能性があり、久留米市の取組が、他自治体の防災・減災対策の参考となればと考えております。
また、今回、市内各施設に募金箱を設置し、大雨被害を受けた熊本県、鹿児島県の被災地への災害義援金の受付を開始するとともに、災害ボランティアを募集し、熊本県内の被災地へバスを運行します。これまで久留米市が受けた支援のお返しの気持ちも込めて、できる限りの支援ができればと思っています。
続きまして、重要課題の取組状況について、3項目申し上げます。
まず、地域産業の振興についてです。
地域経済を取り巻く環境は、国際情勢の不安定化や物価高騰、人口減少に伴う労働力不足など、将来の見通しが難しい、厳しい状況が続いています。こうした状況下でも、久留米市が持続的に発展していくためには、地域産業の振興により地域の稼ぐ力を増大し、地域経済の活性化、雇用の場の確保、さらには、市民の所得向上を図り、安心した暮らしを実現する必要があります。
久留米市では、平成13年度より福岡県と連携し、バイオ産業の振興と拠点化に力を入れてきました。令和3年度には、国からバイオ産業の拠点地域として「バイオコミュニティ」の第1号認定を受け、その発展に向けて、企業の成長や研究開発の支援などを行っております。
現在、久留米市には、バイオ関連企業が65社立地しており、その集積・拠点化が着実に進んでいます。その中には、今回、地域の大学と連携し、未熟児網膜症の治療薬実用化を目指して、国内外から10億円を超える資金を調達し、欧米での臨床試験を開始する企業も出てきております。福岡バイオコミュニティの中心地として、国内外からの投資や地域イノベーションが加速することに期待を寄せております。
また、これまで蓄積されてきたものづくりの知恵と技術をもとに、成長産業分野である宇宙産業に参入する企業も出てきており、福岡県とも連携して、こうした企業の研究開発支援を行っています。宇宙日本食の開発や宇宙関連機器の設計や組立など、久留米地域のものづくり企業の新たな分野へのチャレンジも進んできています。
こうした地域の特長を活かした成長性のある新産業の創出が、今後の地域経済をけん引し、地域産業の活性化や雇用の場の創出につながっていくことを期待しているところです。
さらに、地域企業の経営改善・生産性向上の支援や、産業集積に向けた新たな産業団地の整備を行うとともに、若年層の能力開発や創業支援といった人材育成にも取り組み、足腰の強い産業構造づくりを進め、活力にあふれ成長力に富んだ地域経済にしていきたいと考えております。
久留米市の基幹産業の一つである農業においては、従事者数の減少や高齢化などにより、今後、遊休農地が増えることが懸念されます。こうしたことから、昨年度、農地の効率的かつ持続的な活用を推進するため「地域計画」を策定し、農地の集積・集約をはじめとする将来のあり方の検討を始めました。また、今年度は、農地再生や有効利用のため、遊休農地再生の活動支援の拡充を行ったところです。
あわせて、省力化、生産性向上につながるスマート農業の促進や、担い手の育成・確保、6次産業化や農商工連携といった経営の多角化支援など、多方面から持続可能な農業への支援を行っております。現在、令和8年度からの次期久留米市食料・農業・農村基本計画を策定しており、魅力ある農業都市久留米の発展に向けて、これらの取組をさらに推進してまいります。
これからも、まちの発展を支える経済的基盤の整備にしっかりと取り組み、地域の活力を生み出していきたいと考えております。
次に、まちの魅力の創出についてです。
人が住みたい、訪れたいと思う魅力あるまちは、人が心豊かに生活・活動しており、その地ならではの資源や文化が磨き上げられ、まちの賑わいや快適さを生み出している、そういったまちだと考えています。
特に、文化芸術・スポーツは、市民生活に豊かさや潤いをもたらすと同時に、新たな創造を生み出し、人を呼び込む原動力になり、選ばれるまちの実現に向けて、その魅力を高める要素の一つとなります。
久留米市は、絵画や文学、音楽、スポーツなどで優れた芸術家やアスリートを多数輩出しており、市民の活動もさかんです。こうした礎を活かして、魅力あるまちづくりに取り組んでいます。
そうした中、株式会社ブリヂストンの創業者であり、久留米市名誉市民である石橋正二郎氏により建設寄贈された石橋文化センターは、来年で開園70周年を迎えます。また、久留米市美術館及び久留米シティプラザは、来年で開館10周年となります。
これらの施設は、久留米市の文化芸術振興の拠点として、上質で多彩な鑑賞事業や市民の文化芸術活動の支援などを行い、人々の豊かな人間性の育成、地域の文化芸術のすそ野拡大、さらにはまちの魅力の創出に大きな役割を果たしています。
各施設の節目となる来年に向けて、さらに多くの方々に文化芸術に触れていただく機会を多数設けていきたいと考えており、今年度はそのプレ事業も行っております。
また、久留米シティプラザは、文化芸術の振興に加え、賑わいの創出、広域的な交流の拠点としての取組も進めてきております。
学会などのMICEは、開催方法や件数がコロナ前に戻りつつあり、参加者数が増えています。令和5年度の宇宙技術及び科学の国際シンポジウム「ISTS」、令和6年度の日本商工会議所青年部全国大会と、参加者が1万人を超える大規模な会議や大会も開催されました。市内宿泊者数は、コロナ後増加傾向にあり、令和6年度はMICE関連だけでも2万人を超え、経済効果としても大きなものがあったと考えております。
スポーツ分野においては、昨年、パリオリンピックで正式種目として採用され、大きな注目を集めたブレイキンの世界選手権が、今年12月に久留米アリーナで開催されます。こうした大会の開催は、世界レベルの競技に触れることができ、さらには、人を呼び込む貴重な機会だと考えております。
加えて、文化芸術・スポーツに関する子どもたちの体験機会の創出やジュニアの育成など、次代を担う子どもたちの豊かな感性や創造性を育む取組も行っています。
こうした資源や活動が、久留米ならではの魅力として地域全体の発展へと結びついていくよう、さらに取り組んでまいります。
次に、福祉・教育の推進についてです。
少子高齢化の進展や単身世帯の増加、価値観の多様化など社会環境が変化する中、様々な困りごとを抱えるなど、人々のおかれた環境も変化してきています。どんな環境にあっても、誰もが安心していきいきと暮らせる地域社会の実現が、より一層求められています。
そうした中、高齢化の進展とともに認知症と診断される人が増えており、国の推計では、認知症及び軽度認知障害の人はあわせて約38%と、高齢者の3人に1人が認知機能にかかわる症状があるとされています。こうした状況をふまえ、今年度、認知症の早期発見、発症・進行予防に向けて施策の充実を図ったところです。
VR機器を使った認知機能検査と、その後の機能改善に向けたトレーニングまで一貫して行う事業を6月に開始しました。校区コミュニティセンターなどで行っており、これまでに、約350人の方が検査を受けられ、約100人の方がトレーニングに参加されています。6か月間行うトレーニングの場では参加者同士のつながりも生まれつつあり、様々なプラス効果が現れてきているところです。
また、医療的ケア児や発達が気になる子どもが増えてきており、社会生活等のサポートや発達支援に対するニーズが高まっています。
医療的ケア児については、令和3年の法施行により学校や保育所等における支援が地方公共団体の責務となりましたが、久留米市では法施行前から、看護師の配置による支援を行っています。在籍児童生徒の状況により、現在は、小学校と特別支援学校において21人の子どもを支援しています。
また、発達の相談や療育・訓練などを行う幼児教育研究所では、最初の面談から支援の方向性を示す医師の診察までの期間が6か月間となっていました。今年度、新たに医師の確保や事業スペースの拡大を行い、待機期間の短縮を図りましたが、抜本的な解消にはまだ届いておらず、今後も課題解決に向けて取り組んでいく必要があります。
さらに、障害者の方が、より自立につながるサービス等を受けられるよう、サービス等利用計画及び障害児支援利用計画の作成を行う相談支援事業所の設立の支援も進めています。
加えて、小中学校では不登校が増えている状況をふまえ、不登校児童生徒の将来の社会的自立に向けた総合的な取組を進めており、今年度は、居場所づくりや学習支援の充実を図っています。
校内での居場所として、教育相談や学習支援を行う校内教育支援教室を、全中学校に加えて昨年度から小学校にも設置を開始し、今年度は12校で実施しています。自宅で過ごしている児童生徒に対しては、ICTを活用したコミュニケーションや学習の環境整備を行うほか、フリースクール等の利用開始にかかる経費の支援を始めています。
このほか、ヤングケアラーや生活困窮、日本語のサポートが必要など、抱える困りごとが多様化・複雑化しており、きめ細かな支援が求められています。それぞれのニーズに応じた支援を受けることができ、誰もが安心して生活できる環境の整備を行っていきたいと考えております。
次に、事務庁舎の効率的な活用について申し上げます。
久留米市は、平成17年の広域合併や中核市への移行、行政ニーズの多様化・複雑化などによる、新たな事務事業の発生や業務量の増大に対応するため、適宜、組織改正等を行ってきました。
このような中、市が保有する事務庁舎では、これら全ての行政機能を確保することができず、民間施設を賃借して一部の事務を行っているところです。
しかしながら、民間施設活用の課題として、プライバシーに配慮した相談室、執務室や会議室の不足などが顕在化してきています。
こうした課題に対応するため、まずは、本庁舎において、行政のDX・ペーパーレス化のさらなる推進による執務スペースの最適化や、プライバシーに配慮した市民が相談しやすい環境の整備、そして、デジタル技術の活用による職員の働きやすい環境整備などを行う、オフィス改革に取り組みたいと考えております。
そのうえで、この取組で生み出された本庁舎のスペースを有効活用することで、保健所など民間施設を賃借している一部の事務庁舎機能を本庁舎に移すことを検討したいと考えております。あわせて、災害対応拠点スペースの確保や、市民の利便性や事務の効率性を考慮した部署の再配置についても、検討していきたいと考えております。
厳しさを増す行財政状況の中でも、創意工夫により限られた行政資源を有効に活用することで、社会環境の変化に柔軟に対応し、より効率的で持続可能な行政サービスを提供できる市役所づくりを進めてまいります。
続きまして、2点ご報告させていただきます。
1点目は、姉妹都市・友好都市交流についてです。
久留米市は、福島県郡山市と姉妹都市を、中国合肥市と友好都市を締結し、様々な交流を進めていますが、今年記念の年を迎えました。
郡山市とは、明治政府が行った安積疎水の開発と安積開拓に多くの久留米藩士が携わり、郡山市の礎を築いたことが縁で昭和50年に姉妹都市を締結し、今年で50周年となります。
これまで、市民や職員などによる多岐にわたる交流を継続するとともに、災害時には職員を派遣して相互支援を行うなど、絆の強い交流を行ってまいりました。
50周年の今年は、行政や市民などによる様々な記念事業が予定されています。先月は、郡山市の椎根健雄市長を久留米市にお迎えして、水の祭典くるめ祭りに参加いただくとともに、郡山市で水天宮船太鼓を伝承する皆さんも訪問され、久留米の子どもたちと太鼓の合同練習を行うなど交流を深めました。
私自身も、10月に郡山市を訪問することとしており、改めて、両市の絆と交流を深めてまいりたいと考えております。
また、中国安徽省の合肥市と昭和55年に友好都市を締結し、今年で45周年を迎えました。この10月には、合肥市で記念式典や祝賀会等が予定されており、久留米市からは私が団長となり、石井議長をはじめ市議会や公募による市民の皆様と訪問することとしています。
これを契機として、両市の友好関係をさらに深め、市民の国際親善、国際理解の促進に繋げていきたいと考えております。
2点目は、国土交通省の社会実験についてです。
この社会実験は、交通に関する新たな施策への試みとして、国土交通省が全国の自治体を対象に毎年公募しているもので、今年度は、全国で4自治体、九州では唯一、久留米市が採択を受けました。実験期間は来年度までの2か年となっています。
社会実験の対象となる宮ノ陣地区は、企業や医療機関などが立地する久留米市の産業拠点の一つであり、また、最寄りの西鉄宮の陣駅は、急行電車が停車し、西鉄甘木線も接続する主要な駅となっています。
一方で、駅に接続する路線バスが無いなど二次交通の不足といった課題があり、このことにより産業拠点としてのポテンシャルを十分に活かしきれてないと考えております。
そのため、今回の社会実験では、駅周辺にシェアサイクルなどの多様なモビリティを配置することとしており、秋頃から取組を開始する予定です。実験終了後は、利用データやアンケート調査結果などから社会実験の効果検証を行い、二次交通の確保に向けた各種交通施策への展開を図っていきたいと考えております。
ここで、本日提出いたしております議案の審議をお願いするにあたりまして、各議案の概要をご説明いたします。
第61号議案から第64号議案は、令和7年度一般会計、特別会計及び公営企業会計の補正予算でございます。
はじめに一般会計でございますが、7億5,288万円の追加をお願いするものでございまして、補正後の予算総額は1,600億8,383万円となります。
以下、主な事業について説明いたします。
福岡県の第3子以降保育料無償化補助事業を活用し、第3子以降の保育料を無償とするために必要となる費用、5,155万円、農業分野のDXを推進する農業機械の導入や、施設の整備に対して、その一部を助成する費用、2億5,563万円、交通安全対策の推進のために寄付された寄付金を活用して、通学路のカラー舗装等の安全対策を行うための費用、500万円、筑後川から池町川へ導水しているポンプの修繕に要する費用、760万円、国の採択を受け、宮の陣駅周辺で通勤や通学などに資する二次交通の充実に向けた社会実験として、「モビリティ・ハブ」の整備に取り組むための費用、350万円、令和8年4月1日の大橋小学校・善導寺小学校の統合に伴う通学支援の費用として、604万円。
以上、これらの補正予算の計上に必要な財源は、地方交付税6,062万円、国庫支出金1億688万円、県支出金2億8,973万円、寄付金500万円、繰入金3億5,650万円、諸収入6万円の増額並びに分担金及び負担金5,532万円、使用料及び手数料1,059万円の減額で措置いたしております。
このほか、繰越明許費につきましては1件の追加及び2件の変更、債務負担行為につきましては2件の追加をお願いいたしております。
次に特別会計でございますが、国民健康保険事業及び介護保険事業につきましては、過年度の国県等支出金の精算に伴う返還金として、それぞれ3億7,251万円及び1億2,879万円の追加をお願いいたしております。
公営企業会計では、下水道事業につきまして、京町雨水幹線工事において、福岡県の放水路との接続部にて生じた変状対策のため、2,250万円の追加を含む継続費1事業の変更をお願いいたしております。
次に、第60号議案の専決処分に係る議案及び第65号議案から第67号議案までの一般議案について、提案理由をご説明申し上げます。
第60号議案は、公務遂行中に発生した交通事故により、被害者の受けた損害を賠償するに当たり、その額の決定及び和解の必要が生じましたが、緊急を要したため、専決処分しましたので報告し、承認を求めるものであります。
第65号議案は、諏訪中学校管理・教室棟改築外工事の執行に当たり、契約金額を変更する必要が生じたため、契約の一部を変更する契約を締結しようとするものであります。
第66号議案は、学校における教育ICT環境整備のため、学習者用コンピュータ端末を取得しようとするものであります。
第67号議案は、大刀洗川総合内水対策計画に基づく水門整備工事施行のため、新川水門新設1期工事請負契約を締結しようとするものであります。
続きまして、第68号議案から第72号議案までの条例議案について、各議案の提案理由をご説明申し上げます。
第68号議案は、公職選挙法施行令の一部改正に伴い、選挙運動の公費負担の限度額を改めようとするものであります。
第69号議案は、久留米市田主丸老人福祉センターの設備を一部廃止し、及び用語の整理をしようとするものであります。
第70号議案は、地方公務員の育児休業等に関する法律の一部改正による部分休業制度の拡充等に伴い、用語及び条項の整理をしようとするものであります。
第71号議案は、建設業法施行令の一部改正に伴い、用語の整理等をしようとするものであります。
第72号議案は、放送法の一部改正に伴い、条項の整理等をしようとするものであります。
以上をもちまして、各議案の提案理由についての説明を終了いたしますが、何卒、慎重なるご審議の上、満場のご賛同を賜りますようお願いを申し上げまして、提案理由の説明とさせていただきます。
(令和7年9月3日)