トップ > 暮らし・届出 > 環境・ごみ・リサイクル > 環境ポータルサイト ecoco「エココ」 > 市民環境講座 > 第4回 我が国の地球温暖化対策(1)地球温暖化対策推進法

第4回 我が国の地球温暖化対策(1)地球温暖化対策推進法

更新日:202108021600


第4回 我が国の地球温暖化対策について

我が国の地球温暖化対策は、第3回で説明した地球温暖化に関する国際条約(気候変動枠組条約、京都議定書及びパリ協定)の成立と連動する形で、法制度の整備、施策の強化が図られて来ています。
この国際条約との対比で見ますと、(1)気候変動枠組条約時代は閣議決定などに拠って施策が講じられていましたが、(2)京都議定書採択を機に、「地球温暖化対策の推進に関する法律」が制定され、京都議定書発効後は議定書履行法として規定が逐次整備されています。やがて京都議定書の次期枠組みの協議の本格化の中で、次期枠組みにシフトした法制度の整備が目指されましたが「地球温暖化対策基本法案」は政権の交代もあり成立しませんでした。(3)パリ協定の締結を受けて、2050年カーボンニュートラル、温室効果ガスの実質排出ゼロを目指して地球温暖化対策推進法の改正強化などが鋭意進められています。
我が国の地球温暖化対策は、環境基本法に基づき策定される環境基本計画、地球温暖化対策推進法、及び同法に基づき策定される「地球温暖化対策計画」を中核として、地球温暖化対策の基本方針や具体的施策を示し、さらに、それらの進捗を確認する仕組みを形成しています。
今回は、地球温暖化対策を推進するため、専ら温暖化防止を目的とする我が国初めての法律である「地球温暖化対策推進法」について、制定の経緯と法律のポイント、改正強化されてきた内容の要点、及び2021(令和3)年改正された背景と内容等について概説します。

1 地球温暖化対策推進法の制定の経緯

地球温暖化問題に対処するため、1992(平成4)年に「気候変動に関する国際連合枠組条約(以下、「気候変動枠組条約」という。)が採択されましたが、それに先立ち、我が国は1990(平成2)年に「地球温暖化防止行動計画」を策定し、その対策に着手しました。
気候変動枠組条約は、実行ある措置等が定められていなかったため、1997年12月に京都で開催された気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)において、先進国に法的拘束力のある温室効果ガスの排出量の数値目標を設定した京都議定書が採択され、2005年に発効しました。
京都議定書で、我が国は第一約束期間(2008年~2012年)の温室効果ガス排出量を1990(平成2)年比で6%削減する約束をしたことを受け、翌1998(平成10)年6月に、政府の地球温暖化対策推進本部において、「地球温暖化対策推進大綱」を決定し、同年10月に「地球温暖化対策の推進に関する法律(平成10年法律第117号。以下「地球温暖化対策推進法」という。)」が制定されました。

2 地球温暖化対策推進法のポイント

地球温暖化対策に関する法令のうち、専ら温暖化防止を目的とする我が国初めての法律である「地球温暖化対策推進法」は、「京都議定書」の採択を受け、地球温暖化防止対策に取り組むための枠組みを定めたものであり、1998(平成10)年10月9日に公布され、1999(平成11)年4月に施行されています。
「地球温暖化対策推進法」のポイントは、(1)国、地方公共団体、事業者、国民のすべての主体の役割を明らかにしていること。(2)温室効果ガスに指定されている6種類全てを対象にして取組を促進すること。(3)国、地方公共団体、相当量を排出する事業者に対し、温室効果ガス排出の計画書策定やその実施状況の公表を促すこと。(4)全国共通的な取組だけでなく、地方の実情に応じた細かな対策を推進し、温暖化防止のための行動を国民が進めやすく、効果的にするための仕組みを設けていることです。

3 地球温暖化対策推進法の改正内容の要点

「地球温暖化対策推進法」は、平成10年に制定後、6回にわたり逐次改正強化されてきています。主な改正内容を概括すると、次のとおりです。

(1)平成14年改正
京都議定書の批准に向け、京都議定書の国内担保法としての法整備を行うための改正で、

  1. 京都議定書目標達成計画の策定
  2. 地球温暖化対策推進本部を閣議決定による設置から法律に基づく本部として改めて内閣に設置
  3. 温室効果ガスの排出抑制等のための施策

などが規定された。

(2)平成17年改正
京都議定書が発効されたことを受け、また、温室効果ガスの排出量が基準年度に比べて大幅に増加している状況も踏まえ、温室効果ガスを一定量以上排出する者に温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することを義務付け、国が報告されたデータを集計・公表する制度が導入された。この制度によって、排出者自らが排出量を算定することにより、自主的取組のための基盤を確立し、情報の公表・可視化による国民・事業者全般の自主的取組のインセンティブ・気運を高めることを目的としている。
(3)平成18年改正
事業活動や日常生活における排出抑制の指針を策定し、都道府県や一定の市による地域の計画の策定、事業者・フランチャイズチェーン単位での報告、一定の市による推進センターの設置、植林CDMの活用のための手続きの整備などが入った。京都議定書に定める第一約束期間を前に、諸外国の動向も踏まえ、政府及び国内の法人が京都メカニズムを活用する際の基盤となる口座簿の整備等、京都メカニズムクレジットの活用に関する事項について定められた。
(4)平成20年改正
京都議定書の6%削減目標の達成を確実にするために、事業者の排出抑制等に関する指針の策定、地方公共団体実行計画の策定事項の追加、植林事業から生ずる認証された排出削減量に係る国際的な決定により求められる措置の義務付け等について定められた。
(5)平成25年改正
京都議定書第一約束期間が終了することに伴い、我が国は第二約束期間に加わらないものの、2013(平成25)年以降も気候変動枠組条約下でのカンクン合意に基づき、引き続き地球温暖化対策を推進するため、京都議定書目標達成計画に代わる我が国の地球温暖化対策の総合的かつ計画的な推進を図るための計画として「地球温暖化対策計画」の策定に関する規定や、温室効果ガスの種類に3フッ化窒素(NF3)を追加すること等について定められた。
(6)平成28年改正
地球温暖化対策計画に定める事項として、温室効果ガスの排出の抑制等のための施策及び活動に関する普及啓発の推進(これに係る国と地方公共団体及び民間団体等との連携及び協働を含む。)、及び地球温暖化対策に関する国際協力を推進するために必要な措置を追加するとともに、地方公共団体実行計画の共同策定等地域における地球温暖化対策の推進に係る規定の整備等の措置について定められた。

4 地球温暖化対策推進法の令和3年改正の内容

(1)法改正の背景
我が国は、パリ協定に定める目標(世界全体の気温上昇を2度より十分下回るよう、さらに1.5度までに制限する努力を継続)等を踏まえ、2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を宣言しました。
そして、地域では、2050年カーボンニュートラルを目指す「ゼロカーボンシティ」を表明する自治体が急増しています。また、企業では、ESG金融の進展に伴い、気候変動に関する情報開示や目標設定など「脱炭素経営」に取り組む企業が増加し、サプライチェーンを通じて、地域の企業にも波及しています。
こうした状況を受けて、環境省は2020(令和2)年10月~12月に「地球温暖化対策の推進に関する制度検討会」を開催し、地球温暖化対策のさらなる推進に向けた今後の制度的対応の方向性について取りまとめました。その検討会での取りまとめ等を踏まえ、地球温暖化対策推進法の改正強化が行われたものです。
(2)改正法の概要
平成28年の温暖化対策推進法の改正以降、パリ協定の締結、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)1.5度特別報告書の公表など、重要な世界的潮流の中で、今回の法改正は2050年カーボンニュートラルの実現を基本理念として法に明確に位置付けるのに加え、その実現に向けた具体的な方策として、地域の再生可能エネルギーを活用した脱炭素の取組や、企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化を推進する仕組み等を措置する内容の改正が行われました。

  1. パリ協定・2050年カーボンニュートラル宣言等を踏まえた基本理念の新設
    パリ協定に定める目標を踏まえ、2050年までの脱炭素社会の実現、環境・経済・社会の統合的向上、国民を始めとした関係者の密接な連携等を、地球温暖化対策を推進する上での基本理念として規定することにより、たとえ政権が変わっても長期的に脱炭素の政策を継続することが約束されたことになります。
    これにより、政策の方向性や継続性を明確に示すことで、国民や事業者、地方公共団体は、これまで以上に躊躇することなく地球温暖化対策の取り組みにコミットすることで、イノベーションの加速が期待されています。
  2. 地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業を推進するための計画・認定制度の創設
    地方公共団体では、これまで、地球温暖化対策推進法に即して地球温暖化対策を推進していくための「地方公共団体実行計画」を策定することが求められてきました。しかし、これからの地球温暖化対策には実行計画の実効性をさらに高める必要があり、今回の改正では、施策の実施に関する目標が追加されるなど実行計画の拡充が行われます。また、地域における脱炭素化に欠かせない再エネの活用についてもこれまで再エネ事業に関連する地域トラブルが見られ、地域の合意形成が図りづらいという課題がありました。そこで再エネ利用を促進するための仕組を創設するなど、再エネ事業の円滑化が図られます。
    (ア) 再エネ利用促進等の施策
    施策のカテゴリには4つあり、
    (1)再エネの利用促進(2)事業者・住民の削減活動促進(3)地域環境の整備(4)循環型社会の形成。
    (イ) 促進区域
    環境保全に支障を及ぼすおそれがないものとして環境省令で定める区域の設定に関する基準に従い、かつ、(都道府県が定めた場合にあっては)都道府県の促進区域の設定に関する環境配慮基準に基づき定めることとなる。(第21条第6項及び第7項)
    (ウ) 手続きのワンストップ化
    自然公園法に基づく国立・国定公園内における開発行為の許可等、温泉法に基づく土地の掘削等の許可、廃棄物処理法に基づく熱回収施設の認定や処分場跡地の形質変更届出、農地法に基づく農地の転用の許可、森林法に基づく民有林等における開発行為の許可、河川法に基づく水利使用のために取水した流水等を利用する発電(従属発電)の登録。
  3. 脱炭素経営の促進に向けた企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進等
    地球温暖化対策推進法では、ある一定以上の温室効果ガスを排出する事業者には、国に温室効果ガス排出量の報告が義務付けられています。しかしながら、これまで排出量の報告は紙媒体での報告が基本で、報告から公表まで約2年もの期間が必要とされていました。今回の改正では、これらの大幅な改善が見込まれます。排出量の報告方法は、原則電子システムへの入力となります。電子システムへの入力により、報告から公表までの期間を約2年から1年未満へと短縮する方針です。また、これまで事業所ごとの排出量を閲覧したい場合、開示請求の手続きが必要でした。しかし、今回の改正では、事業所単位の排出量もすべてオープンデータ化し、だれもがその情報にアクセスすることが可能となります。したがって、ステークホルダーからの視線も強まると同時に企業の温室効果ガス削減への意識が高まり、積極的な削減施策の実行が期待されます。
  4. その他
    地球温暖化対策の定義の変更等の所要の規定の整備が行われています。
  5. 施行期日
    改正法の施行期日は、基本理念の新設については公布の日である2021(令和3)年6月2日です。また、地域における脱炭素化を促進する事業を推進するための計画・認定制度の創設と、企業の脱炭素経営の促進に向けた温室効果ガス排出量のデジタル化・オープンデータ化の推進に関しては、公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされています。

令和3年改正法の要旨

  1. パリ協定・2050年カーボンニュートラル宣言等を踏まえた基本理念の新設
    パリ協定に定める目標を踏まえ、2050年までの脱炭素社会の実現、環境・経済・社会の統合的向上、国民を始めとした関係者の密接な連携等を、地球温暖化対策を推進する上での基本理念として規定した。
  2. 地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業を推進するための計画・認定制度の創設
    (1)地方公共団体実行計画に、施策の実施に関する目標を追加するとともに、市町村は、地域の再エネを活用した脱炭素化を促進する事業(地域脱炭素化促進事業)に係る促進区域や環境配慮、地域貢献に関する方針等を定めるよう努めることとした。
    (2)市町村から、地方公共団体実行計画に適合していること等の認定を受けた地域脱炭素化促進事業計画に記載された事業については、関係法令の手続のワンストップ化等の特例を受けられることとした。
  3. 脱炭素経営の促進に向けた企業の排出量情報のデジタル化・オープンデータ化の推進等
    (1)企業の温室効果ガス排出量に係る算定・報告・公表制度について、電子システムによる報告を原則化するとともに、これまで開示請求の手続を経なければ開示されなかった事業所ごとの排出量情報について開示請求の手続なしで公表される仕組みとした。
    (2)地域地球温暖化防止活動推進センターの事務として、事業者向けの啓発・広報活動を追加した。
  4. その他
    地球温暖化対策の定義の変更等の所要の規定の整備を行った。
  5. 施行期日
    本法については、一部を除き、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとした。

藤田 八暉
久留米市環境審議会会長
久留米大学名誉教授



参考1 排出抑制等指針
地球温暖化対策推進法により、事業者が事業活動において使用する設備について、温室効果ガスの排出の抑制等に資するものを選択するとともに、できる限り温室効果ガスの排出量を少なくする方法で使用するよう努めること、また、国民が日常生活において利用する製品・サービスの製造等を事業者が行うに当たって、その利用に伴う温室効果ガスの排出量がより少ないものの製造等を行うとともに、その利用に伴う温室効果ガスの排出に関する情報の提供を行うよう努めることとされています。こうした努力義務を果たすために必要な措置を示した、排出抑制等指針を策定・公表することとされており、これまでに産業部門(製造業)、業務部門、上水道・工業用水道部門、下水道部門、廃棄物処理部門、日常生活部門において策定されています。

参考2 地方公共団体実行計画の策定
(1)地方公共団体実行計画(区域施策編)の策定
地球温暖化対策推進法に基づき、都道府県及び市町村は、地球温暖化対策計画を勘案し、その区域の自然的社会的条件に応じて、温室効果ガスの排出の抑制等のための総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するように努めるものとされ、特に現・施行時特例市以上の地方公共団体には、地域における再生可能エネルギーの導入拡大、省エネルギーの推進等盛り込んだ「地方公共団体実行計画(区域施策編)」の策定が義務付けられています。
(2)地方公共団体実行計画(事務事業編)の策定
全ての都道府県及び市町村は、自らの事務・事業に伴い発生する温室効果ガスの排出削減等に関する地方公共団体実行計画(事務事業編)の策定が義務付けられています。

このページについてのお問い合わせ

 環境部環境政策課
 電話番号:0942-30-9146 FAX番号:0942-30-9715 電子メール(専用フォーム)でのお問い合わせ

▲このページの先頭へ