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更新日:2021年10月26日 10時11分
昨今、認知症ケアの分野において 【回想法】 という心理療法が注目されています。昔を思い出しながら当時のことについて語ることで、自分の人生を見つめ直し、自尊心が向上したり、抑うつ状態が緩和されたりすることが期待されています。
坂本繁二郎生家は久留米市に唯一残る武家屋敷で、明治35年(1902年)頃の姿に立て直されています。復原に際しては古い部材を極力使用しており、見る者・触れる者に懐かしさを与えます。生家には昔ながらの雨戸やカマドなどがあり、特にご高齢の方は幼少期を思い出されるのではないでしょうか。
平成26年度に初めて民間の福祉施設にご利用いただきました。期待していた以上に「懐かしい」と喜ばれていました。これをきっかけに、今後も状況に応じて福祉関係の団体利用を受け入れていたきたいと思っています。
医療関係の実習や研修、介護施設等の団体利用など、生家をご活用したい場合は事前に文化財保護課までお問い合わせください。事前にご相談いただければ、市職員及び坂本繁二郎生家保存会のスタッフで、出来る限り対応させていただきます。
【回想法】をはじめとして、医療や福祉等の関係で坂本繁二郎生家をご利用いただいた方の活用事例を紹介いたします。
高齢者総合ケア施設「共生の里津福」には3つのユニットがあるそうですが、そのうちの1ユニットの皆様にご利用頂きました。
生家にはスロープを準備していないため、車椅子利用者に関しては、市の男性職員2名と施設職員が協力して庭先と廊下を上げ下ろししました。
畳の上を横切る際にも、車椅子を持ち上げて移動しました。
施設入居者には認知症を患っている方がいらっしゃいますが、昔ながらのカマドやトイレなどを見ると、昔を思い出して「これはこうして使っていた」「懐かしかあ」と語ってくださいました。
居心地が良かったのでしょうか、座敷で仲良く並んで寝ていらっしゃる方もいました。
普段は寡黙だという入居者も饒舌になったようで、施設に戻ってからも興奮気味だったそうです。
【回想法】ということを意識していなくても、そこに懐かしさを感じる方は皆、昔を思い出していた様子でした。
今回のように車椅子利用者が複数いる団体を受け入れたのは初の試みでしたが、後日の感想を聞く限り、満足して帰っていただいたようでした。
機会があれば今後もご利用していただけるとのことで、またお会い出来る日を楽しみにしています。
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