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更新日:2024年04月26日 15時58分
5月23日は「難病の日」です。平成26年5月23日に「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)が成立したことを記念して、登録されました。難病は、確率は低いものの、誰もがかかるかもしれない病気。難病を抱える人やその家族の思い、困っている事を理解し、支えていくことが大切です。
2500人以上が助成対象
難病とは、発病の原因が不明で、治療方法が確立しておらず、長期にわたる療養が必要な希少な病気のことです。医療費助成対象の「指定難病」は、パーキンソン病や潰瘍性大腸炎、全身性エリテマトーデスなど、341疾病(令和6年4月現在)。全国で100万人以上、久留米市でも2500人以上が助成対象になっています。
見た目で分かりにくい
難病はあまり知られていないため、偏見や差別、誤解を受けた経験がある人も少なくありません。クローン病は消化管に炎症が起き、下痢や腹痛などの症状があります。ほかにも慢性的に関節や筋肉が痛む皮膚筋炎/多発性筋炎や目や口の乾燥などを引き起こすシェーグレン症候群など見た目で分からない症状の病気が多くあります。治療の副作用で倦怠感や集中力の低下が起こることも。本人が症状を感じていても見た目で分からず、周囲の理解を得にくくなります。症状がつらくて休んでいると、「怠けている」、「甘えている」と誤解されたり、仕事を続けられなくなったりした人もいます。
学びにも支障
難病は、治療が長引くことが多く、肉体的だけでなく精神的負担もあります。特に幼い頃から難病を抱える人は、将来への不安を抱えて学校生活を送っています。
障害者教育を研究する久留米大学の佐藤剛介教授は、「治療などで授業に出席できず、進級や卒業、進学できない人がいます。難病を抱える子どもたちが学び、希望をかなえるための仕組みを社会全体で考える必要があると思います」と訴えます。
大切な周囲の理解
難病は、症状の個人差が大きく、体調の変動もさまざまです。まずは、周囲の人が難病の特徴や困っている事を知ることが大切です。その人に合わせた必要な支援や配慮があれば、難病を抱えていても働いたり学び続けたりすることができるのです。
【問い合わせ先】健康推進課(電話番号0942-30-9729、FAX番号0942-30-9833)
「助けて」と言える関係づくりを(クローン病患者 西裕亮さん)
クローン病と診断されたのは35歳の時。さまざまな検査を経ての診断でした。症状がある「活動期」と治療で一時的に症状が治まる「寛解期」を繰り返すのが特徴で、「寛解期」を続けることが目標です。
仕事は続けられるかという不安がありました。今は、通院治療と、食事や体調を自己管理しながら介護事業所で働いています。働き始めた頃は、できそうな仕事でも任せてもらえなかったり、反対に、見た目では分からないので、体調が悪そうにしていても協力してもらえなかったりもしました。働き続けるうちに少しずつ理解してもらえるようになりました。
病気でもできることはたくさんあります。反対に病気でなくてもできないこともあると思います。困ったときに助けてと言える関係や環境を作ることが大切だと思います。
周りの支えがあったから(多発性硬化症患者 副島大幹さん)
14歳の時に多発性硬化症と診断されました。免疫が神経細胞の周りを包む「さや」を攻撃し、炎症を起こす病気です。炎症を起こす場所によって症状が違います。私の場合は、炎症が視神経の時は視界の真ん中が欠け、小脳の時はバランス感覚を失ってずっと船酔いしているような状態に。症状が現れるたびに3週間ほど入院しました。今は発症を防ぐ可能性がある薬を服用して生活しています。
病気と闘いながらの学生生活は大変なことも多かったです。高校生の頃、筋力が落ちてつらかったので親に送迎してもらったら、先生から送迎は禁止と注意されました。病気を理解されず悔しい思いをしました。入院で勉強が遅れるのが嫌で、ぎりぎりまで我慢したこともあります。退学も考えましたが、家族や友人のアドバイスや支えで踏みとどまることができました。今は、国家資格である「公認心理師」を目指して大学院で学んでいます。経験を生かして働きたいと思っています。
難病や障害、認知症など、外見では分からなくても、援助や配慮を必要としていることを伝えるためのマークです。身につけた人を見かけたら、声掛けや必要なサポートをお願いします。
【問い合わせ先】障害者福祉課(電話番号0942-30-9035、FAX番号0942-30-9752)