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第6回 SDGs(エスディージーズ)とは

更新日:202109291700


第6回 SDGs(エスディージーズ)について

「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals ;SDGs)」は、2015年9月25日に国連サミットで採択されました。その日からちょうど6周年になります。
SDGsは、国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成する行動計画で、2030年に向けた17のゴール(大きな目標)と、それらを達成するための具体的な169のタ-ゲット(各ゴールを目指すための細かな提案、目標)から構成されています。
SDGsについて、この2~3年で急速に認知度が高まり、取組が広がってきており、企業戦略に取り入れられたり、イベントに絡めてアピールされたり、新聞、テレビなどでもSDGsのマークや用語が頻繁に使われています。
朝日新聞社が2017年から毎年実施しているSDGs認知度調査で、全国の5千人を対象に「SDGsという言葉を聞いたことがあるか」との質問に対して、第7回(2020年12月)の調査では「ある」と答えた人が45.6%に上がりました。第1回(2017年7月)の調査では12.2%でしたが、第5回(2019年8月)には27.3%、第6回(2020年2月)には32.9%と、急速に認知度が高まっています。(第1回から第6回の調査エリアは東京都・神奈川県のみ)
企業のSDGsの取組についてみると、東洋経済新報社の『CSR企業総覧』によれば、2017年版(2016年の企業アンケート回答)においてSDGsを参考にしている企業の割合は15%でしたが、2021年版(2020年回答)では46%に急上昇しています。
このようにSDGsが各方面で広まっていますが、そもそもSDGsとは何なのか、SDGsにどのように取り組んで行けば良いのかを理解しておく必要があります。
そこで今回は、SDGsが国連で採択に至るまでの経緯と、SDGsの内容についてレビューするとともに、2030年のSDGs達成に向けた我が国の取組について概説したいと思います。

1 SDGsとは 持続可能な開発のための2030アジェンダの中核

2015年9月の国連総会において全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ(以下「2030アジェンダ」という。)」は、国際社会全体が人間活動に伴い引き起こされる諸問題を喫緊の課題として認識し、協働して解決に向けて取り組んでいく決意を表明した画期的な合意であり、国際社会全体として望ましい2030年のあるべき姿に向けた道筋を示したものです。
2030アジェンダでは目標達成に向けて、地球上の'誰一人取り残さない(No One Left Behind)'ことを明確に掲げています。この背景には、グローバル化が益々進展し、各国間の経済的な結び付きや国境を越えた企業活動が活発に行われる中で、グローバル化による成長の恩恵が一部の国や一部の人に偏在しているという格差の議論が大きな問題となっていることがあります。
また、2030アジェンダの冒頭では、持続可能な開発のキーワードとして、人間(People)、地球(Planet)、繁栄(Prosperity)、平和(Peace)、連帯(Partnership)の5つのPを掲げています。
このコンセプトを分野別の目標としてまとめたものが、「SDGs」であり、2030アジェンダの中核として成り立っています。
SDGsを中核とする2030アジェンダの採択に至るまでには、ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals;MDGs)からの流れがあります。ミレニアム開発目標(MDGs)は、2000年9月に開催された国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言を基にまとめられており、2015年を達成期限として、(1)極度の貧困と飢餓の撲滅、(2)普遍的な初等教育の達成、(3)環境の持続可能性の確保など8つの目標が掲げられました。その内容は後継となる2030アジェンダに引き継がれています。
2030アジェンダでは、SDGsで野心的な目標を掲げ、その達成のために必要な手段を逆算して決めていくバックキャスティングの考え方を採用するとともに、その実施を確保するために活性化されたグローバル・パートナーシップを必要としています。

2 SDGsの内容

(1)SDGsの概要及び特徴
SDGsは、持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする国際目標であり、17のゴールと各ゴールごとに設定された合計169のターゲット及び232の指標で構成されています。
環境、経済、社会の諸課題を包括的に扱い、また、課題相互間の関係(inter-linkage)を重視した構造となっています。
SDGsの特徴として、次の5つが挙げられます。

  1. 先進国を含め,全ての国が行動〈普遍性〉
  2. 人間の安全保障の理念を反映し、「誰一人取り残さない」〈包摂性〉
  3. 全てのステークホルダーが役割を〈参画型〉
  4. 社会・経済・環境に統合的に取り組む〈統合性〉
  5. 定期的にフォローアップ〈透明性〉

SDGsには、これまでの国際目標とは異なる幾つかの画期的な特徴があります。大きな特徴の一つは、途上国に限らず先進国を含む全ての国に目標が適用されるというユニバーサリティ(普遍性)で、SDGsの前身であるMDGsと比較すると、先進国が自らの国内で取り組まなければならない課題が増えています。次に、包括的な目標を示すと同時に、各々の目標は相互に関連することが強調されており、分野横断的なアプローチが必要とされています。
SDGsの17のゴールには、水・衛生、エネルギー、持続可能な都市、持続可能な消費と生産、気候変動、陸上資源、海洋資源といった地球環境そのものの課題や、地球環境と密接に関わる課題が数多く含まれています。これは、地球環境の持続可能性に対する国際社会の危機感の表れと言えます。
SDGsの17のゴールと169のターゲットは相互に関係しており、複数の課題を統合的に解決することや、一つの行動によって複数の側面における利益を生み出すマルチベネフィットを目指すという特徴を持っています。環境政策の観点からSDGsのゴール間の関連性を見ると、環境を基盤とし、その上に持続可能な経済社会活動が存在しているという役割をそれぞれが担っていると考えられます。
この考えは、地球の限界(プラネタリ―・バウンダリー)の考え方とも整合しており、このような地球の限界の中で豊かな経済や社会をいかに追求するかが問われています。
(2)SDGsの環境との関わり
SDGsの17のゴールを見ると、「ゴール6(水・衛生)」、「ゴール12(持続可能な消費と生産)」、「ゴール13(気候変動)」、「ゴール14(海洋資源)」、「ゴール15(陸上資源)」等のゴールは、特に環境と関わりが深くなっています。これは、MDGsには、8つのゴールのうち環境に直接関係するゴールが一つしか含まれなかったことと比較して、環境的側面が増加していることをよく表しています。
また、これにとどまらず、SDGsの特徴の一つであるゴール間の関連から、その他のゴールにも環境との関わりが見られます。各ゴールはターゲットを介して環境との結び付きが示され、持続可能な開発の三側面(環境、経済、社会)は一体不可分であるという考えが、ターゲットのレベルでも貫かれています。

3 SDGs達成に向けた我が国の取組

我が国においてSDGsを推進するため、2016年5月に、内閣に「持続可能な開発目標(SDGs)推進本部」が設置され、内閣総理大臣を本部長、内閣官房長官、外務大臣を副本部長とし、他の全ての国務大臣を本部員として構成されています。推進本部の下には、行政、NGO、NPO、有識者、民間セクター、国際機関、各種団体等の広範な関係者が意見交換を行う「SDGs推進円卓会議」が設置され、会議での各界の意見も踏まえ、2016年12月に「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」が決定されました。
「SDGs実施指針」では、持続可能で強靱、そして誰一人取り残さない、経済、社会、環境の統合的向上が実現された未来への先駆者を目指すことをビジョンとして掲げ、8つの優先課題と約140の具体的施策を定めています。主な環境関係の優先課題は「省・再生可能エネルギー、気候変動対策、循環型社会」、「生物多様性、森林、海洋等の環境の保全」です。
SDGsの環境側面に関しては、(1)多くの環境関連ゴール・ターゲットが含まれ、(2)実施に向けて多様な主体が関与しており、(3)実施に向けた取組は多様であり、先行事例を見つつ、創意工夫が必要であるという特徴があります。
この「SDGs実施指針」における優先分野に総力を挙げて取り組むために、2017年12月に「SDGsアクションプラン2018」がSDGs推進本部において策定され、それ以降は毎年12月に次年度のSDGs達成のための主要な取組を盛り込んだ「SDGsアクションプラン」が策定されています。
また、「SDGs実施指針」は、2019年12月に時代に即した形で改定され、改定された実施指針に基づき、達成年限である2030年を意識しながら、今後より一層本格的な行動を加速・拡大し、SDGs実現に取り組んでいくこととされています。
国内において「誰一人取り残さない」社会を実現するためには、広く日本全国にSDGsを浸透させる必要があります。そのためには、地方自治体及びその地域で活動するステークホルダーによる積極的な取組が不可欠であり、SDGsの一層の浸透・主流化を図ることが期待されるところです。
内閣府が、全国の自治体におけるSDGsの取組動向等を把握するため2020年9月25日~11月13日に全自治体を対象に調査した結果では、SDGsについてどの程度知っているかの質問に、程度に差はあるもののほぼ全ての自治体が知っていると答え、知らないと答えたのはわずかの0.1%です。SDGsについてどの程度関心があるかの質問には、非常に関心がある22.2%、関心がある68.9%と、合わせて9割以上の自治体で関心があると答えています。SDGsの達成に向けて取組を推進しているかの質問には、推進している54.5%、今後推進していく予定と今後推進を検討していく予定を合わせて41%であり、推進しておらず今後の予定もないはわずか4.5%です。
地方自治体においては、各地域のエネルギー、自然資源や都市基盤、産業集積等に加えて、文化、風土、組織・コミュニティなど様々な地域資源を活用し、持続可能な社会を形成する「地域循環共生圏」の創造に取り組むなど、自治体における多様で独自のSDGsの実施を推進することが期待されています。国の「第五次環境基本計画」では、SDGsの考え方を活用して地域における各種計画の改善に資するようなものにすることが必要であるとしています。

おわりに

2019年9月に開催された「SDGsサミット2019」で採択された「SDGsサミット政治宣言」では、「極度の貧困、子供 の死亡率、電気・水へのアクセス等で一定の進展があったものの、飢餓、ジェンダー、格差、生物多様性、環境破壊、海洋プラスチックごみ、気候変動、災害リスクへの対応に遅れが見られる」との分析が示され、グテーレス国連事務総長は、2030年までをSDGs達成に向けた取組を拡大・加速するための「行動の10年」とし、国際社会に強く行動を呼びかけました。目標とする2030年まで10年を切った中、これまで我が国がどのようにSDGs推進に取り組んできたかを検証し、将来世代へと続く持続可能な社会をつくるために、今後の取組を加速化していくことが肝要と考えます。

藤田 八暉
久留米市環境審議会会長
久留米大学名誉教授

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